第35話 開始

 『魔王領』

 それはバレット大陸西岸に位置する国々の中で最大の面積を持つこの国は国名が表す通り、魔王が国家元首に就く魔族達の王国だ。


 国土面積は地球のインドとカザフスタンを合わせたくらいに広く、沿岸部には軍港を含めた幾つかの港湾都市が存在しており、バレット大陸西岸部最大の貿易国家として発展してきた歴史がある。


 人魚族や水龍族などに代表される海洋性魔族達が多く暮らす沿岸地域と、それ以外の魔族達が暮らす内陸部では種族による生活様式が違うこともあるが、これらを考慮しても多種多様な文化を感じることができる種族差別が殆どない多民族国家として有名で、今でも他種族の移民達にとって人気の高い国のひとつだ。


 そんな魔王領の首都『ヴィグリード』は国土のほぼ中心部に位置し、国名ともなっている『魔王』がわす城――――その名も『魔王城』が存在する大都市でもある。


 街路は石畳で舗装されており、街灯がきちんと整備されていることもあって月のない闇夜であっても仄かに明るく、人口も他の都市より多いことも相まって昼夜問わず賑わっているのが特徴だが、通行人達は外見が普通の人間種と変わらない者以外にも頭部に角が生えている者や背中に翼を持つ者など、多種多様な身体的特徴を持つ種族達が街中を闊歩していた。





――――魔王領首都『ヴィグリード』 魔王城付近市街地街路





 そして様々な種族達が歩道を歩いている様子を横目に、車道を颯爽と走る馬車の一団があった。


 前後を四頭からなる警察の騎馬隊によって守られ、二頭立ての曳き馬で構成されている地球では『クーペ』と呼ばれる二人乗り用の四輪箱型馬車の座席には、中年の男性が着席している。


 人間種ではあり得ない金色の瞳を備え、艶のある銀髪をオールバックにして鉛筆型ペンシルタイプと呼ばれる形状の髭を蓄えている男性は世の男達が「歳をとったら、将来はこうなりたい」と考える、若い頃はさぞかし女性達にモテていたであろうことを思わせる良い歳の取り方を体現していた。


 三つ揃いの濃い紺色の背広スーツに包まれている身体は老いを感じさせない程に若々しく、広い肩幅とガッチリした体格は彼が只の中年男性でないことを暗に物語っており、年齢相応の雰囲気を差し引いても男として『現役』であることを表している。


 

(陛下直々の呼び出しとは……恐らく、のことなのだろうな)



 彼は馬車の車内で神妙な面持ちを保ったままだった。

 なんと言っても、我ら魔族が敬愛する魔王陛下直々による招聘要請が宮中府大臣から直接発せられたのだ。


 それも、の情報を受け取った直後に要請が来たのである。

 魔王陛下がどのようなことについて自分を呼び出したのか、考えるまでもないだろう。



「議長閣下、まもなく魔王城へと到着します」


「うむ」


(いや……今は余計なことを考えるのはよそう。

 久方振りに陛下に拝謁できるのだから、先ずは御意向をお聞きして決めれば良いことだ)


 

 御者から「議長閣下」と呼ばれた中年の男性――――魔王領中央議会議長こと吸血族大公『オルランド・フォン・クローチェ』はゆっくりと頭を左右に振ると、それまで考えていたことを止め、これから起こるであろうことだけに集中することを決めた。






 ◇






――――魔王領首都『ヴィグリード』 魔王城庭園 中庭





 魔王領の首都『ヴィグリード』の東側には、この国の元首である魔王の居城がある。

 その名も『魔王城』という、ある意味で分かりやすい名前が授けられた城だ。


 魔王領建国当初から代々の魔王とその家族達が住み、この国の最高意思決定者であり、国権を司る魔王と当時の閣僚達による悲喜交々の政治劇が繰り広げられた舞台でもある。


 その魔王城の敷地内に存在する広大な庭園にある通称『中庭』と呼ばれる場所では二人の男が話をしていた。一人は庭木の前でしゃがみ込んで雑草を取り、その男の背中を見守るように少し離れたところで三つ揃いの背広を着込んだ中年の男性が佇んでいる。


 周囲には彼ら以外に人気はなく、本来であれば庭園の各所に配置されている近衛兵の姿さえも見えない。それは彼ら以外に他人の耳に入れたくない内容の話をするためであり、例え警護の者がいなくともこの二人であれば大抵の襲撃者は撃退できるという自信の表れでもあった。



「済まないな、クローチェ。

 どうしても、君と話しておかなければいけないことが発生してね」


「誠に恐れ多いことであります。

 陛下の御前にて拝謁できる機会を与えていただき、恐悦至極で御座いますれば……」


「うん。

 堅苦しいことは抜きにして、君と率直な意見を交わしたいのだよ。

 ……良いかい?」


「はい。 畏まりました」



 庭木の前でしゃがみ込んで素手で雑草を毟っているのは誰であろう、この国の元首である魔王本人であっ

た。


 背広を着込んで革靴を履いているが、なぜ魔王が中庭で雑草を素手で取っていたかというと、今回王城へと呼んだ相手――――クローチェ吸血族大公と話をしながら庭を散策しようとしていた折に雑草が密集している箇所を見つけたからだ。


 黒い瞳に白髪が混じった黒髪、控えめに蓄えられた髭という一見すると地味に見える風貌は他にはない独特の風格を備えており、傍に立つクローチェ大公と比較しても彼の方が遥かに格上の存在であることが一目で分かる。


 その魔王から発せらせる声は、聞く者によっては感情のない平坦な話し方に聞こえるかもしれない。だが、魔王の側近である大公や閣僚、侍従達は知っているのだ。


 魔王が感情を込めた喋り方をしていると、それだけで周囲の者達は動揺して恐れを抱いてしまうがために、敢えてこの平坦で落ち着いた話し方を選んで声を発しているということに。


 だからこそ周囲の者達は魔王の一挙手一投足に注目し、そこへ僅かに含まれる彼の感情を読み取ろうと努力する。


 心根が優し過ぎる魔王陛下が何を考えて、何を成そうとしているのかを……


 

「君のことだから、もう既に知っているとは思うけれど、君の娘……クローチェ魔導少将が生きていたということについて話しておきたいと思ってね?」


「はい。 既に聞き及んでいます。

 私も妻も、娘の生存が既に絶望的だと思う一方で、心の何処かでどんな形でも良いから生きていて欲しいと願っていましたが、一縷の望みを捨てなくて良かったと心底実感している次第であります」



 魔王からクローチェ大公へと静かに発せられた内容は、やはり実の娘であるアゼレアの生存情報についてだった。


 二十一年間という超寿命を誇る上級魔族にとっても決して無視し得ない長い年月の間、誰もが既に亡くなっているであろうと思われていた筈の娘が生きていたという情報は、衝撃を持ってクローチェ大公の頭の中を駆け巡り、親として例えようのない安心感と嬉しさをもたらしたのだった。


 それは妻であるエルメールも同じだったようで、アゼレアの生存情報を聞いた瞬間……彼女は涙を流しながらその場へと崩れ落ち、歓喜の嗚咽は暫く続くことになったのだが、それは別の問題が発生する前触れでもあったのである。



「因みにだけれど、クローチェ魔導少将の生存情報を知っているのは君の他は誰なのかな?」


「一部未確認の情報であったため、このことを知っているのは私と妻、あとは私が信頼を寄せている外務省の在シグマ大帝国大使だけかと」



 家族の中でアゼレアの生存情報に触れているのは自分を除けば妻エルメール只一人だけである。報告してきた大使を除けば、このことは長女であるリドヴィアや侍従達にも全く知らされていない。



「ということは……情報源は私と同じ所からということだね?」


「はい。

 現在、在シグマ大帝国大使の座に就いているのは私と同族である[ルクレール伯爵家]の長男である『ファマス』でありますから、恐らく気を回して陛下と私のみに報告書を送ったのだと思われます」



 ルクレール伯爵家は吸血族の中では比較的古株の中堅貴族家ではあるものの、代々優秀な外交官や大使、総督などを輩出し続けている外務閥貴族でもある。


 対してクローチェ大公家は筋金入りの軍閥貴族の筆頭であるため、国防と表裏一体の関係にある外交関係の貴族家とは密接な関係を築いており、同じ吸血族であるルクレール伯爵家とは家族ぐるみで仲が良い。


 そのためアゼレアの生存情報を送ってきたのは大使としての義務というよりも吸血族ルクレール伯爵家の一員であるという思いが強く、ファマス大使はクローチェ大公を除けば魔王のみに報告書を送っている。


 しかも、途中で誰かが報告書の内容を確認出来ないように魔導機密封印を三重に施し、外交機密急送報告扱いで魔王城へと送付するという念の入れようだった。



「そうなんだね。 で、君はどうしようと思っているのかい?」


「親としては非常に心苦しいのですが……アゼレアには帰国してもらわない方向で考えています」


「そうか……」


「今の魔王領国防軍は上級魔族達の持つ魔法戦力に頼らない道を模索している途上です。

 それに、今アゼレアが戻って来た場合、軍部の中級魔族を中心とした若手将校達の動きが活発化しかねません……」



 父親としては一刻も早く娘に祖国の土を踏んで欲しいところではあるが、諸処の事情でそうはいかない理由が彼の前に大きな障害となって立ちはだかっていた。



「『魔族至上主義思想』か……」

 

「はい」



 魔王が口にした『魔族至上主義思想』とは端的に言えば「魔族こそが最高の種族であり、大陸を支配できる唯一無二の存在である」ということを根底に据えている思想だ。


 こういった種族至上主義思想は人間種を含めた各種族内に必ず存在する考えではあるものの、軍人や貴族達の中にはこれらの思想が過激な方向へと向かっている者も少なからずいる。


 特に魔族や長耳族は他の種族よりも魔力や身体能力が極端に高い者が一定数存在しているため、思想に同調する上級魔族や上位長耳族である彼らを旗印にして、他種族を支配して隷属化しようと画策する動きが後を絶たない。


 最近では中級魔族を戦力の中核としたリグレシア皇国軍の躍進もあって、国防軍内の一部の過激な思想を持つ若手将校達を中心に『バレット大陸制圧論』なる論調が漂い始めている。


 要するに「中級魔族と下級魔族を中核としたリグレシア皇国軍があれだけの戦果を挙げたのだから、上級魔族と中級魔族を中核とする国防軍我が軍であればバレット大陸を制圧することなど容易い」というのが彼らの言だ。


 だが、そんなことは所詮絵空事である。

 彼らの考えは大陸の制圧だけで、その後の統治や魔族最大の悩みである『出生数の増加』といった諸問題の解決へ全く目が向いていない。


 

「もし、クローチェ魔導少将が戻って来た場合、軍部はどのような反応を示すと思うかね?」


「殆どの将官達は嫌な顔をするでしょう。

 しかしながら、佐官・尉官級の将校達は恐れを抱きながらもアゼレアの帰還を喜ぶかと」


「そうか。

 して、君個人としてはどう思うかね?」


「我が娘ながら、アゼレアの存在は今のこの国にとって劇薬になるのは必然です。

 二十一年前、娘が突然いなくなったことで国防省と軍内部は荒れに荒れました」


「そうだったね……」



 二十一年前、アゼレアが突如消えたことで魔王領は魔族最強の存在を失うと共に最高の魔法戦力がいとも簡単に消え去り、それまでの当たり前として考えられてきた国防軍の用兵制度に大きな疑義が生じることになったのだ。


 上級魔族――――その中でもアゼレアのように強大な魔法戦力として数え上げられている高位上級魔族が寿命や病気による死ではなく、突如消え去ってしまう事態に対して軍部は大いに慌てた。


 しかもそれが単なる事故ではなく、人為的に仕組まれたことによる影響で地球の戦略核兵器に相当する存在が消え去ったのだから、慌てるなと言うほうが無理があるだろう。


 結果、国防軍内では『上級魔族達の持つ魔法戦力に頼るのは危険である』という意見が大勢を占めるに及び、いつ如何なるときも安定した戦力を確保する必要に迫られて現在に至る。



「現在、陸軍は『魔法機動兵』と『魔導駆動鎧』が陸戦兵器として採用されたばかりですし、空軍では飛行船が配備され、海軍においては装甲艦が進水して間もない時期です。

 今後も上級魔族の持つ魔法戦力に頼らない兵器の実用化と用兵制度の確立は急務になるでしょう。

 そして……」


「いずれ、血が薄まり少数派になる運命にある魔族達と、各大陸を席巻してしまうであろう人間種達と対等に渡り合うには上級魔族の持つ魔法にばかり頼るのは危険……ということだね?」


「仰る通りです」


「そう考えると、クローチェ魔導少将の帰還は確かに波風を立てることになるだろうな」


「はっ……」



 我が娘ながら、アゼレアの魔力は目の前にいる魔王陛下は元より自分やエルメールをも凌駕しており、魔力だけ見れば本物の魔王たる資格を持っていると言っても過言ではない。


 そのアゼレアが消えたことで国防軍は上級魔族に代わる戦力の必要性に迫られ、同じ魔族国家でありながら敵であるリグレシア皇国を参考として魔法技術だけではなく、科学技術をも利用して戦力の増強と拡充実現を目指して邁進してきた。


 その甲斐もあって陸海空軍において上級魔族の持つ強大な魔力を必要とせずに、ある程度強力な戦力を揃えられる目処が立ってきたところであったが、そのような情勢下でアゼレアが戻って来ることは今の軍や将兵達にとって良い影響はもたらさないだろう。


 また、アゼレアが居なくなったことで上級魔族の高魔力を拠り所の一つとしていた『魔族至上主義思想』に染まっている若手将校達も鳴りを潜めることを止めて密かに動き始めるに違いない。


 しかも、『魔族至上主義思想』に染まっている者は軍人だけではなく、警察や外務省など政府の各機関に所属する若い職員達にも広がりを見せており、リグレシアが何らかの戦果や勝利を掲げる都度、その声が大きくなっているのも事実である。


 そのような情勢下で消えて死んでいた筈のアゼレアが戻って来たらどうなるかは火を見るよりも明らかだ。


 親である自分が言うも何だが、アゼレアは非常に優秀な軍人である。


 戦場で多くの軍功を掲げ、自分でも持つことが叶わなかった『特・戦略級魔法戦技章』まで手に入れ、若くして国防軍の魔導少将にまで上り詰めた。


 そんな良くできた娘は軍上層部にはウケが悪い反面、先任を含めた若手将校や女性軍人達からは絶大な人気を誇っている。特に保安本部へと移ってからは国防軍将官達の不正や汚職を憲兵隊や衛兵連隊を使って幾度も叩き潰して暴き出してきたこともあり、その人気は益々高まっていたのだ。


 もし仮にアゼレアが無事に帰国して軍に復帰できた場合、魔族至上主義者達の動きが活発化することは必至である。


 それだけならば良いのだが、アゼレアの預かり知らない所で彼女の存在を旗印にして魔族至上主義者に染まった将兵達が反乱を企てて行動を起こし、魔王陛下を害するような事態に陥れば目も当てられないことになるだろう。


 反乱を企てた者は即刻捕らえて処罰すれば問題ないが、無関係であった筈のアゼレアが自分の存在がきっかけとなって反乱の引き金を引かせる原因になっと知れば、責任を感じて自裁しかねない。


 そのような事態になれば自分は娘を亡くし、魔王領は最強の魔法戦力を永遠に失うことになって何一つ得なことはないのだから、今は涙を飲んで娘の帰還を断固阻止するべきなのだ。



「私の口からこんなことを言うのは心苦しいが、やはりこの国に帰って来てもらうのは不味いのかい?」


「はい。 帰還が難しいでしょう。

 なので……恐れ多いことではありますが、私めから陛下へ対して提案があります」


「それは何かな?」


「はっ。 それは……」


(アゼレアよ。 不甲斐ない親であるこの私を許してくれ……)



 親として苦渋の決断でもある娘の帰還を確実に先伸ばしすることになるであろう提案をオルランドは父親としてではなく、吸血族大公として、魔王領中央議会議長として彼は謹んで魔王陛下へと提言する。


 心の中でアゼレア愛娘へ精一杯の謝罪を行うと共に……






 ◇






「はぁ。 今日で3日目か……」



 線路を走る列車の走行音に掻き消されそうになる自分の声が耳を打つが、それに対して誰の反応も返って来ない。それもその筈で、今この列車の一等客室のコンパートメント内には俺1人しかいないからだ。



異世界こっち神界向こうでは時間の流れが違うからなぁ……」



 アゼレアが向こうの世界へ行って早3日が経過していた。


 今頃はこの世界の神様であるイーシアさんと地球の神である御上みかみさんの二柱から地球の歴史や戦争、軍隊などについて講義を受けている真っ最中なのだが、この世界と神様の世界では時間の流れが違うため、アゼレアの帰還は長くなるであろうことは予め予想していた。


 が、やはり数ヶ月という期間を共に過ごした最愛の女性が目の前から姿を消すとかなりの寂しさを覚える。しかも、こちらから連絡ができないとなれば、不安になるなと言う方が無理があるだろう。


 いや、正確に言えばイーシアさんから貰ったスマホやノートパソコンで連絡は可能なのだが、アゼレアが真剣な面持ちで講義を受けていると思うと、気が引けて連絡出来ずにいると言った方が正しいだろう。



(まさか、ここまで孤独感に苛まされるとはね……)



 日本に居た頃は一生独身でも構わないと思いながら実家で独り身の生活を謳歌していたのだが、いざこうやって好きな女性ができて数日とはいえ音信不通に落ち着かなくなって心がソワソワとしてしまう。現代日本に居た頃ならば、電話やメールで直ぐに連絡ができる環境にあったがために余計もどかしい思いが募る。



(これって、一生日本へ帰れないことに対する気持ちの裏返しなのかもなぁ……)



 望郷の念がないわけではない。

 日本で暮らしていた頃と比べてこの世界は酷く不便なところも沢山あるし、純粋な日本人にとって主食である米が長期間食えない環境ひとつとっても、日本に帰りたいという思いに駆られて当然なのだ。


 だが、俺の場合は日本に戻っても元のように暮らすのは最早不可能である。

 何せ戸籍はおろか、自分が日本人である記録や家族を含めた俺に対する人々の記憶の一切が消去されているのだから、戻っても国籍や出生を含めたあらゆる経歴が全くの不明という謎の人物として扱われるだけだ。


 だからこそ、自分のことを知っているアゼレアが殊更大切な存在として俺の目に写っているのかもしれない。この地球どころか、この異世界にさえも身寄りがない自分にとって、アゼレアは俺の存在意義そのものと言っても過言ではないと思う。



(もしかしたら……列車に乗っている間は戻って来ないのかもしれないのか?)



 アゼレアは長耳エルフ族と同じように長寿命を誇る上級魔族であるため、時間の捉え方に対する感覚が人間と多少ズレているところがあるので、下手をすると数ヶ月……いや数年間帰って来ない可能性もないわけでもない。


 神様の世界では1時間という時間はこの世界において約1日の時間経過に相当するらしいので、アゼレアがイーシアさん達と話す地球の歴史や軍事にのめり込んで向こうで1日を過ごした場合、1ヶ月近く戻ってこない可能性だってあるのだ。



「まあ、変な新聞記者に目を付けられたって言っていたから、その方が良いのかもしれないな……」



 とは言え、アゼレアが嫌がっていた国際通信社所属の記者からの追求を免れるのであれば列車乗車中に戻って来ないのはそれはそれで良いのかもしれない。何せアゼレアは今現在この世界に存在していないため、尾行を撒く撒かない以前の問題になるのだから。


 そしてアゼレアとは別にもう一つの問題が俺達の前に立ちはだかろうとしていた。

 主に此処には居ないアゼレアの預かり知らぬ所で……



「にしても、魔王領があんなことになってるなんてねぇ?」



 エルフィス教皇領の特別高等監察官にして聖エルフィス教会の監察司祭であるベアトリーチェから聞かされた『魔族至上主義思想』と、その選民思想に染まっている魔王領国防軍所属の中級魔族達と一部の上級魔族からなる若手将校達の動向は俺にとって無視し得ない状況へと陥っていた。


 リグレシア皇国軍によるバレット大陸での躍進は、元々からこの大陸に住んでいる魔族達に少なからぬ影響を与え、その極端な例が『魔族至上主義思想』の台頭という過激な選民思想の伝播へと発展し、各国の魔族軍上層部ではその動きを抑えるのに躍起になっているのだとか。


 そしてその動きは魔王領も例外ではなく、それどころか強力な魔力を持つ上級魔族達が多く住む彼の国では軍や政府内での若手組を中心に、『魔族至上主義思想』に傾倒する若い魔族達が増えているのだとベアトリーチェは言っていた。



(『五・一五事件』や『二・二六事件』のようにならないと良いけれど……)



 旧日本軍の若手将校達が引き起こしたあの事件は人間しか暮らしていない地球だったからこそ、あれくらいの規模で収まっていたが、自らが強力な魔力と武力を持つ中・上級魔族の軍人達が決起を起こせば内戦紛いの戦闘へと発展するのは必至である。


 もし、魔王領を中心にバレット大陸の各魔族国家の軍で決起が発生すれば、リグレシア皇国軍はこの騒ぎをチャンスと捉えて大陸南部に展開させている軍を一気に北侵させることだろう。


 そうなれば大陸中部以北に存在する人間種や獣人族、長耳族の国々とリグレシア皇国軍やそれに同調する各魔族決起軍とで大規模な軍事衝突へと発展し、この大陸は未曾有の大戦――――泥沼の戦争へと突入し、奇しくも『人間と魔族を除く他種族対魔族』という異世界ファンタジーにありがちな終わりの見えない戦争の構図へと引き摺り込まれてしまうことになる。

 


「はぁ。 心配だなぁ……」



 思わず溜息が出てしまう。

 いくらこの世界の神様がバックに付いているとはいえ、国家間の戦争を止めるなどという壮大なスケールに対して自分個人では何も出来ないことは百も承知しているため、俺に出来ることと言えばアゼレアが祖国の土を無事に踏めることを静かに祈ることだけだった。






 ◆





 

 シグマ大帝国の第二都市『メンデル』を目指す高速旅客列車『リンドブルム四号』はこの日も快調に目的地を目指して線路をひた走っていた。


 地球とは違い、夜になると徘徊を始める大型の魔獣や魔物との遭遇を避ける為、夜間は安全対策の為に途中駅で一晩停車させられるという面倒極まりない行為を繰り返していたとはいえ、乗客達をそれぞれの停車駅まで安全に送り届けるという業務を見事に遂行している。


 特に今回は隣国であるウィルティア大公国の第一公女王族が乗り込んでいることもあり、いつも以上に神経を使った道程であったが、特に何の問題も無く列車が運行出来ているのは、ひとえに車掌以下各乗務員達の弛まぬ努力の結晶であると言っても過言ではないだろう。


 だが彼らは知らない。


 この列車に乗車している乗客達の中にということを……






 ◆






――――高速旅客列車『リンドブルム四号』 一等客車・三号車某客室内





 この日、輝くような長い銀髪をひっつめた少女が鉄道での旅の間に寛いでいた客室内は僅かながら緊張感に満ちていた。


 その理由は明確で、いよいよの企む計画が今か今かと開始の刻を待っていたのだ。



「少佐殿、第五小隊より連絡がありました。

 我が部隊が鹵獲していた軌道車の発車準備が完了したとのことであります。

 現在、所定の場所にて待機中とのこと」



 副官からの報せを受けた少女は彼に対して頷き、作戦開始を迅る心を落ち着けるようにして、静かに最終確認の問いを発する。



「結構。 第二小隊の準備は?」


「いつでも行動可能とのことであります」


「よろしい。

 では、現時刻を持って予定通りに作戦行動『乙』を発動させる。

 各員へ下命、『落ち着いて行け』とな……」


「はっ! 了解しました」



 少女の指示を受けた副官が敬礼し、伝送器を手に各員へと符号を送って作戦開始の刻を知らせていく。


 そんな彼の姿を横目で眺めながら、少女は己が座っている席の傍に置かれた鞄からを取り出して、果たしてが問題なく動作するかを最終確認する。



「さて……いよいよ楽しいショーの幕開けだ」



 屈強な部下達からはいつも『少佐』と呼ばれていた少女――――リグレシア皇国親衛隊省・武装親衛隊本部直轄[第二四襲撃撹乱大隊]の指揮官である『エルザ・ディレット』親衛隊少佐は、その美しい顔立ちからは想像もつかない獰猛な笑みを浮かべつつ、右手に持つ六十一年式回転弾倉拳銃の撃鉄を引き起こした。






 ◆






 今回運行中のシグマ大帝国の高速旅客列車『リンドブルム四号』には最後尾の二等客車に貨物列車用の車掌車カブースが連結されている。


 通常は長距離旅客列車には車掌車は連結されておらず、鉄道公安官を含む車掌以下乗務員達は乗務員用の車輌で寝食を行い、二十四時間列車の運行に従事しているのだが、今回の列車編成にだけ車掌車が連結されて終着駅がある第二都市メンデルを目指していた。



「前方異常無し」


「後方、同じく異常無し!」


「良し。 それじゃあ、俺達も昼飯にするぞ」


「待ってました!」


「漸くですか。 もう、腹の中は空っぽですよ……」


「そう言うな。 これも仕事なんだぞ?」


「分かってますよ」



 そして車掌車の中には四人の鉄道公安官が詰めており、その内の二人が天井に設けられている監視塔キューポラの窓から車輌の前後を見張っている。


 そして彼らの上司が昼食を摂る合図を出すと、張り詰めていた車内の緊張感は急速に霧散し、一気に和やかな雰囲気へと変わっていく。



「おおっ! 今日のも美味そうですね!」


「どれどれ? ああ、確かに美味そうだ。

 俺達くらいの歳になると、弁当はこれくらいの量が丁度良いんだよな」


「だな。

 まあ、移動中の列車に乗っていると、これくらい食事しか楽しみがないからなぁ……」



 食堂車で作られた乗務員用の弁当を部下達に渡していく中、一番最初に受け取った部下が弁当の蓋を開けた直後に喜びの声が上がり、彼に続いて他の公安官達も早速とばかりに蓋を開けて中を見る。


 本日の弁当の献立は卵焼きに腸詰めウィンナー、ほうれん草の炒め物と一口大にカットされた果物、そしてこれらにおにぎり握り飯が三つ付いていた。


 食堂車勤務の調理担当者が作った弁当は、乗務員達からの人気が非常に高い上に味もさることながら、量も多過ぎず少な過ぎずといった感じで丁度良く、弁当の蓋を開ける瞬間は男女問わず乗務員達の数少ない楽しみになっている。



「ほれ。 お前の分だ」


「ありがとうございます」



 監視塔の座席に座ったままの若い公安官に上司が弁当と水が入っている水筒を渡すが、渡された部下は外を見たまま礼を言って弁当を受け取るが早いか、すぐに蓋を開けて食べ始めた。



「飯のときも監視塔の座席に座りっぱなしで辛くはないのか?」


「いえ。

 この席だと景色を独り占めできるので、楽しいですよ。

 お陰で飯もいつもより美味く感じます」


「ふーん……」



 ある意味で職務熱心な部下の態度に苦笑しつつ、黙々と箸を動かして食事をする彼に対して呆れたように声を掛ける上司であったが、いつもと同じ答えが返ってくきたので、それを聞いた上司は頷きながら己の席に座って食事を始めるのであった。



(仕事とはいえ、これくらいの役得がないとな)



 一方で、座席に座ったまま食事を続ける公安官は内心そんなことを思っていた。


 任務とはいえ、狭い車掌車に乗り込んでいるのだから、折角の食事のときくらいは上司や先輩、同僚達の顔を見ながら食べるよりも景色の良い場所で飯を食いたい。


 それに、ここに座っていれば車外の異変を素早く察知できて一石二鳥なので、誰も彼の行動を責める者はいなかった。


 唯一の悩みと言えば、乗車中一切の飲酒が禁止されていることだが、こればかりは愚痴を漏らしても仕方がない。


 とは言え、流れる景色を特等席で眺めつつ美味い飯を食っていると酒が欲しくなるのが人情というもので、若い公安官は態度にこそ表さなかったが、内心は水や茶ではなく酒を所望していた。



(これで酒を飲めれば最高なんだが……)



 だが、酒を飲みたいという思いも束の間、彼の目は窓の外に映る異変を察知する。



「ん? 今のは何だ?」



 おかずを口へと運ぶ箸の動きを止め、傍に弁当を置いて代わりに双眼鏡を手に取ると、注意深く外を警戒し始めた。



「どうした?」


「いえ、何かがこっちに向かって来て……?」



 部下の異変を察知したのだろう。

 上司である年嵩の公安官が外を注意深く監視する部下を心配そうな表情で見るが、当の若い公安官は彼の問い掛けに対する返答もそこそこに双眼鏡内に映るを凝視していたのである。


 彼が双眼鏡で捉えていたのは、空を飛ぶ人間の女性の姿だった。背中から薄い灰色の翼を生やしていたソレは走行中の列車の遥か二百メートル程上空で旋回運動を繰り返していたが、次の瞬間、翼を折り畳んだかと思ったら、美しい金髪を風圧ではためかせつつ、こちらへ向けて急降下して来たのである。


 しかも、よく見るとその女性の手には長大な槍が握られているではないか!



「なっ!? 人!? こっちへ向かって来る…………ガッ!!」


「うわっ!?」


「何だ!?」


「おいっ! 何が起きた!?」



 双眼鏡に映っていた女性の姿が見る見る内に大きくなってきたと思うも束の間、直後に硝子が割れる大きな音と共に、何か硬いものが金属と擦れる不快な音が車内に響き渡り、食事中だった公安官達は驚愕の表情も顕にして音が聞こえてきた方を見やる。



「なっ!? 一体何が起きたんだ!?」


「おいっ、大丈夫か!?」



 驚きの声が上がる中、部下達の無事を確認する上司の声が車内に響くが、その問いに対して誰も応える者はいなかった……いや、応えられなかったと言った方が良いだろう。


 その答えは彼らが向けている視線の先にあった。


 

「これは……槍?」



 部下達の視線の先、そこには首から口にかけて太い槍が打ち込まれ、座席を貫通した状態で串刺しにされた部下の死体があったのだ。


 つい先程まで彼が生きていたことを証明するかのようにダラリと垂れ下がった両腕は“ビクンッ! ビクンッ!”と痙攣を繰り返しつつ、傷口から溢れ出る生暖かい血がダラダラと床へと滴り落ちて小さな池を作っているのが確認できた。



「おいっ!! 何をボサッとしている!

 襲撃だ! 機関車と前方の車掌車へ連絡を入れろ!!」


「は、はいっ!」



 突然目の前で起きた余りにも非常識な事態に経験豊富な鉄道公安官達はほんの数秒ではあったが、ポカンとした表情のまま呆然としていた。


 しかし、直ぐに立ち直った上司の声によって気を取り直した彼らは動揺しつつも、指示通りに動こうとする。


 だが、彼らの動きをそうはさせまいと封じるかの如く、間髪入れずに車掌車の後部扉が乱暴に開かれた直後、何者かが車内へと素早く侵入して来たのだ。



「うわっ!? 何だお前ら!!」


「貴様ら! ここを何処だと思って……!」



 それに対して公安官達は腰に提げた銃囊ホルスターから拳銃を抜いて応戦しようと試みたものの、既に武器を抜いた状態で車内へと突入して来た者達が持つ短剣で彼らは次々に斬り伏せられていき、十数秒後には車内は静けさを取り戻していた。



「敵全員を排除。 後方車掌車の制圧を完了しました」


『良し。

 軌道車を誘導して連結させたら、貴官らは引き続き車掌車内を完全に掌握して不測の事態に備えよ』


「了解しました」



 的確且つ一撃で心臓や肝臓を刺し貫かれた公安官達はほぼ即死状態だった。


 ドス黒い血が床を汚していく中、車掌車内へと侵入して来た者達は公安官達全員を殺害し、車内を制圧したことを自分達の上官へと報告した彼らは、伝送器から聞こえてきた少女の声を持つ者からの指示に従い、当初の作戦通りに配置へ就く。






 ◆






 この日、エルフィス教皇領の特別高等監察官である『ベアトリーチェ・ドゥ・ガルディアン』監察司祭と同国衛士庁所属の『カルロッタ・メッサーシュミット』上級衛士は走行中の高速旅客列車『リンドブルム四号』の一等客車である二号車の客室内で珈琲を飲みつつ、焼き菓子クッキーを摘んでマッタリとしている真っ最中だった。


 一等客車専用の食堂車から特別に配膳して持って来て貰った焼き菓子と珈琲は、食堂車に乗り込んでいる専門の調理師パティシエが作っているだけにとても美味しく、ホロ甘い焼き菓子を食べた後にすっきりとした酸味を持つ珈琲を飲んで味を追い掛けると、それだけで口の中に小さな幸せが広がる。



「あら? この気配は何かしら?」


「一体、何事でしょうか?」



 だが、その幸せを遮る気配に対して彼女達は敏感に反応した。


 自分達が寛いでいる客室の外――――通路を歩いて行く複数の足音に僅かながら、ある種の緊張感が感じ取れたのである。

 


「あの足音から推測するに、どうやら全員武装しているみたいですわね?」


「はい。

 それも、ただ単に武器を携帯しているのではなく、手に持った状態で通路を移動しているようです」



 通常、客室の扉には車掌や鉄道公安官が室内の様子を確認出来るように、透明の硝子が嵌め込まれている。だが、乗客の中にはそれを嫌がって窓掛けカーテンを夜だけではなく常に閉じたままにしている者も多く、ベアトリーチェ達も自分達の性別が女性であるということと、職務上の都合もあって日中でも殆ど窓掛けを閉じていた。


 そのため、通路を歩いて行った者達の姿こそ見えなかったが、ベアトリーチェとカルロッタにはそのようなことはさしたる問題ではなく、聞こえてきた音を的確に聞き分けていたのである。


 歩いて行った者達の足音に混じって僅かに聞こえていた音――――普通に聞いていれば、列車の走行音に掻き消されて聞こえる筈がない金属音を明確に聞き取っていた彼女達は彼の者達が武器を所持し、尚且つそれを手に持って構えた状態であることを見抜いていた。



「鉄道公安官やガーランド保安官達ではないみたいですわ。 カルロッタ」


「冒険者でもないみたいですね。

 規則正しい歩幅と常に揺れている列車内でも安定しつつもしっかりとした足取りは、よく訓練された軍人のそれであると愚考しますが?」


「ええ。 正にその通りですわ。

 カルロッタ、どうやらこの列車での旅は終始退屈しないで済みそうですわね?」


「はい。 私も同じ意見であります」



 こちらに対して意味深な笑みを向けているベアトリーチェへ同調するかのように、どこか悪巧みをしているかのようなニヤリとした表情で返すカルロッタ。



「カルロッタ、の準備はできているかしら?」


「はい。 いつでも準備万端であります」



 ベアトリーチェの問いに対してカルロッタは己の席の傍に置かれている鍵の掛かった、よく使い込まれている革製のトランクを手に持ち、鍵を解いて蓋を開けてから中身を見せる。


 それを見たベアトリーチェは満足気に頷き、カルロッタに指示を下す。


 

「結構ですわ。

 それではここを出たら、タカシさん達のいる車両へと向かうことにましょう。

 彼らと合流すれば恐れるものは何もありませんわ。

 勿論、その間に立ちはだかる障害は排除する必要がありますわね」


「はっ! 了解しました」



 カルロッタが開いて見せた鞄の中身――――そこには自分達が携帯している回転弾倉拳銃の弾丸が六発ずつ装着された複数個の装填器具スピードローダーが収められている革製のベルトホルダーに、それぞれが銃身を短く改造さている水平二連銃身型の散弾銃と 底碪式レバーアクション装填の短小銃が所狭しと詰め込まれていた。






 ◇






「ん? 何だ、この感覚は?」



 座席に座ったまま、特にすることもなく流れていく景色を列車の窓からボーッと眺めていた俺は、突如襲って来た首筋に感じるチリチリとした得体の知れない感覚に意識が覚醒して視線を扉の方へと向ける。



「外?」



 一瞬、アゼレアが帰って来たのかと思ったが、この感覚は違う。

 彼女の持つ独特の威圧感や緊張感とは比べようのないこの感覚は以前、何処かで感じたことがあった気がするのだ。



(何だ? この言いようのない焦燥感のような、圧迫感にも似た感覚は?)



 別に何か悪いことをした訳でもないのに胸を押し潰すような圧迫感と、背中を押すような焦燥感に駆られた俺は、無意識に席の傍に置いていたポーランド製の短機関銃Wz63を手に取っていた。


 そして銃のグリップを握った瞬間、その感じていたものの正体を知り、俺は愕然とする。


 この雰囲気はあの時、当時まだ知り合ってすらいなかったガーランド保安官達警保軍の連中に泊まっていた宿を包囲されている時と同じ感覚であることを……!!



(これは……殺気か!?)



 そう認識した瞬間、室内へ無数の銃声が響き渡ったのだった。

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