その時、闇の使徒は?

 テレビは映らない。


 スマフォもダメ。


 PCもネットが使用不可能。


 ただライフラインが生きているだけの状況。



 外は死者が闊歩している地獄絵図。


 生存者の自宅待機や最寄りの避難所への避難などを呼び掛けている車の拡声器の声も聞こえなくなった。


 時折銃声が聞こえる。


 この比良坂町は近くに自衛隊の駐屯地がある。かなり大規模なレーダー基地があり、その警護の為だとか。その為少し離れた所(と言ってもかなり距離はあるが――)には海上自衛隊や航空自衛隊の基地まである。



 だからパンデミックにも対処できる――とでも思わなければやってられなかった。


 現在はカーテン閉め切って、エアコンガンガン作動させて水を出来る限り補給して食料を節制して立て籠もっている。


 将一が心配だがアイツなら別に死にはしないと思う。


 家族や妹もどうなっているかは分からない。


 今は家は自分一人ぼっち。


 正直とても寂しい。


 やる事と言えばゲームやギャルゲー、アニメの消化とかぐらいだ。


(助けは来るかな……)


 まだテレビやネットが繋がっていた段階の話だが、今現在起きている騒動は想像を遥かに超える範囲だ。


 少なくとも日本の首都圏はアウト。


 騒動は海外にも飛び火していた。



 世界の終わり。



 そんな単語が相応しい状況。


 一旦退避して映画みたいに特殊部隊が編成されて助けが来て安全な場所に避難出来るのは何日掛かるだろう。


 下手すると年単位になるかも知れない。



 だがその先は?


 仮に持ち直したとしても文明はどれぐらい後退するのか。


 洋ゲーとかのゾンビ物とかでよくある食料配給制の管理社会とかもう笑い事ではない。


 しかし今はその段階に辿り着けるか怪しい状況だ。


「やっと一日目か……」


 ポツリと呟く。


 もう日が落ちて一日目が終わらろうとしているが、果たして彼は生きているのだろうか?

 学校某ゾンビ漫画みたいな状況になったのであろう事は容易に想像出来る。


(――やるだけの事はやった。これからどうするかは明日考えよう)


 そうして彼女は現実逃避を始めるべく、ベッドに横になった。   


   

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