王様と召使い

 王様が人知れず糞を漏らしてしまい、召使いに命令する。


「これを洗濯せよ。よいか、ワシが糞を漏らしたことを誰にも言ってはならぬぞ」


「ははっ!」


 しかし、誰かに話したくなった召使いは肥だめにむかって


「みんなぁ〜! 王様が糞を漏らしたぞ〜!」


と叫ぶと、国中の肥だめから


『みんなぁ〜! 王様が糞を漏らしたぞ〜!』


と声が聞こえてきた。


 激怒した王様はすぐさま召使いを処刑しようとするが、側近の魔法使いが肥だめを調べたところ


「どうも我が国の肥だめには、いにしえより声を遠くへ伝える魔法がかけられているみたいです」


 こうして召使いは釈放され、肥だめにむかって王様の布告を国中へ伝える役を仰せつかった。


 また王様は民衆の願いも肥だめを通じて聞き、王国はより栄えていった。

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