第40話 スバル強行脱出

 スバルが強行脱出するとき、ケエル総督は手を出さないことになっていた。ケレス軍はそんなに甘くない。したがって、ケレス軌道上の哨戒網に掛かったところから追っ手が、かかることになる。ここまで、コモドール一味は、通報できないでいた。手を切られたのが、コモドール本人で、止血が間に合わず衰弱しているところを最初に気がついた子分が、救急車を呼んだ。しかし魔法特区中心街の裏通りの中には車が入れないので、時間を食い、本人の意識も混濁していたので、通報できなかった。

 メインは思った。

 悪くないですが、大包囲網を敷かれたら、厳しいですね。アランの航宇術が頼りです

 メインの横には、スーがいて、二人は手を繋いでいた。スーは、ミーシャの無事を祈った。メインは、両親とサウロの私設軍と従兄妹のスーにだけすべてを話していた。二人は結婚が近い。スーは、ミーシャに奪還実行のタイミングを連絡する役をかってでていた。メインにばれるのもはばからず連絡している。


 ここまでの状態から、惑星ケレス付近に戦艦が集結しいていることは、むしろ、優位に働くことになった。しかし、ここは、ケレス連邦の中心地だ。何所に向かおうが、向かう先から追っ手がかかるのは、当たり前だ。


 スバルに搭乗したマークは、クララとミーシャを倉庫の重力ダンパーがある生活スペースに連れて行った。ナオミも後に続く。

 アランは、スバルの操縦席を全開にして、ファイターのコクピットのようにした。マスメンタル仕様だ。

「MG2、ニナ、行けるか?」

「まだ戦艦は、動いてへん」

「通報も傍受できません」

「よし、行くぞ」

 スバルは、反重力機関で離陸した。そして、さほど高度をとらないところで、すぐにバリヤーを張り、3Gで惑星ケレスを離れる軌道に入った。

「ケレス哨戒網反応しました」

「戦艦まだやで」

「ナオミ、クララとダンパーキューブに入れ」

 ナオミとクララは、ダンパー室の中に設置された、二重目のダンパーキューブの中に抱き合うように入った。

 アランは、太陽方面に舵を切った。これが一番敵と出くわさない方向だからだ。アランは8Gにスピードを上げた。

「戦艦反応しよった。もう遅いな、哨戒訓練してたファイター12機こちらに向きを変えたけど問題なしや。ドレッド級2隻もあかんな」

「やったな」

 マークが倉庫から戻ってきた。

「まだだ。進行方向から、戦艦」

 マークは慌てて武器コンソールの席に座った。

「MG2戦艦分布図を見せてくれ」

 即座に、手元の航宇図に繁栄される。アランは、30手ぐらいの選択をタイムラグなしで感じた。グリーンのハッキングで、戦艦の分布図がリアルタイムで送られてくる。

「マーク、この戦艦は落とすぞ」

 相手は、スバルの倍はあるロケット級だ。最低でもレーザーキャノンを1基持っている。マークは、集積レーザー砲を敵のパルスエンジンの荷電端子に3×3連掃射した。

 相手は、荷電端子が破壊され航行不能になる。主砲が使えなくなりレーザー掃射して来たが8Gのままスバルは、通り過ぎた。

「MG2,9Gにしていいか」

「問題なしや」

 アランは、更にスピードを上げ、ついてきていたファイターを完全にぶち切った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る