第39話 もう一人の脱出者

 二人が車に入ると、そこには、サウロ以外、助手席にもう一人居た。サウロは、ちょっと困った顔をしながら車を出した。

「ミーシャさん!」

 二人は驚いた。

「私も、宇宙に連れて行ってもらいたいの。ソウジロウに会いたいのよ」

 マークとアランは、一斉にテレパシーで、ナオミとアリスに言われた。

 お願い、ミーシャさんの言うことを聞いて

 ミーシャを連れて行くのよアラン

「ナオミ」

「姉貴」

 聞かされていないのは、二人だけで、どうやら女のネットワークでは、既成の事実のようだ。

「無理だ、危険すぎる」マークの話は、最もだ。

「第三皇女だぞ、姉貴」アランも然り

 ミーシャは泣きそうだ。手も震えている。ここまで来るのにも相当勇気を振り絞って出てきていた。

 ミーシャさんを連れて行かなかったら許さないからね

 ナオミの意志は固い。

 ミーシャも命がけなのよ。分かる

 アリスも本気だ。

 マークは黙ってしまったが、アランは納まらない。

「これじゃあ誘拐だろ、どうすんのさ」

 これには、ナオミも、アリスも次の言葉がない。

 クララが弱い声でマークに話しかけた。

「マーク」

「なんだ」

「この人を連れて行って、じゃあないと、私達逃げられない」

 クララは、額にすごい汗をかいており、この言葉を発した後、意識を失った。ミーシャが、慌ててクララをマークから取りあげ看病し出した。

 マークとアランは、息を吐きながら顔を見合わせ、肩の力を抜いた。アランが折れた。

「分かったよ姉貴」

「ミーシャさん、本当に危ないですよ」と、マーク。

「ごめんなさい。私には、もう、この生き方しかないの」


 車を運転していたサウロは、やっといつもの機嫌がいいサウロに戻った。

「もう、緊急脱出口に着きますよ、いいですか、ミーシャ様。ちょっとぶかぶかですが、私の宇宙服を着てください。マークさん達の宇宙船とは仕様が合わない物ですから。何ちょっとコロニーを出て歩くだけですよ。マークさん達は、自分たちのが後ろにあるでしょう。メットを被るだけですもんね。クララちゃんは、出口のところに緊急用のエヤーポットが有りますから」

 ミーシャは、ドレスの上から車の中でそのまま宇宙服の中にスッポリ入り、アランが後ろを手伝った。マークは、こういうのが苦手だ。

「ここまで18分です。がんばってください」

 サウロは、4人を送り出した。

 サウロから連絡を受けたメインは、早いスピードにヨシと思ったが、戦艦の分布図を見て、憮然としたままだった。まだ動いていないが、数が多すぎるのだ。

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