第18話 新撰組の困った奴ら その2

海の上を行く船の中にロザリーとパーカーの姿があった。船は英国船籍である。

「hey. where we final destination ?(ねぇ。最終目的地はどこ?)」

「so, we will going to kyoto.(京都さ)」

「Did you armed already enough?(武装は十分にしたかね?)」

パーカーとロザリーは京都へ向かっていた。現在は神戸のあたりであった。

「I already armed(武装済みですよ) 」

「OK」

ロザリーの武装はハンドガンが2丁にナイフ。それに新装備が数点。

「Mr.perker? what did you choose from your ARMs?(何を選んだのかしら?)」

「so I choose 2 hand-gun.and this Cane, and so, This cane is made of iron(ハンドガンを2丁、と、この鉄製の杖を選んだ。)」

「If you hit it with that cane, it might hurt a lot.(その杖で敵を打ったら、血の海になりそうね)」

ロザリーとパーカーは笑った。



「how do you do?(調子はどうかね?)」

「We are fine thanks(元気です。ありがとうございます)」

京都の郊外にある茶屋、大和屋でパーカーと鉄は握手を交わしていた。

「and,so…the miburo they are barbarian's. Take care(ミブロ、彼らは野蛮人です。 気を付けて)」

「thanks your info. Tetsu.(君の情報に感謝しよう。 鉄)」

一方で、

「ようロザリー。元気そうじゃぁねぇか」

「あたしは元気ヨ?お珠はどうしたのよ?」

ロザリーは聞きかえした

「お珠は宿の留守番だよ。アンタこそ京都くるまでジィ様をしっかり守ったんだろうねぇ?」

美星も言い返す

「アタリマエ。あたしの拳でぶっ飛ばしてやったワ」

事実、横浜を出る前に一悶着あり、ロザリーは船に乗り込む際に水兵から襲われそうになったパーカー氏を助けていた。

「hey Tetsu!」

ロザリーは鉄にハグを求めながら、突然振り下ろされた杖をバックステップで避けた。

「stop it,rosary」

「yes.Mr」

パーカーはロザリーをにらみつけた。

「I'm ok.and calm down, Mr.parker(私は大丈夫です。落ち着いて、パーカーさん)」

鉄はパーカーをなだめる。

「calm down? what's did you said(なにを言っとる?落ち着いてだと?)」

「i think that It's okay if I just hug.(ハグだけなら平気です)

「Should you be eaten by her?(彼女に食われてしまうぞ?)」

パーカーは眉根を寄せて苦渋顔になる。

「jorking…(ジョークですよ)」

「Sireiously.its.not jokeing(ほんとに冗談ではないのだ)」

そこまで話すうちに美星が割って入った。

「そこまでだ。場所を移した方が良くないかい?」

「そうでした。壬生狼が近くにいるんでした」

忘れていた。今も壬生狼は京都市街をうろついているのだという事を。

「I just want to tell that the Mibro are patrol near,And so,I recommend we should go to another place(壬生狼が近くをパトロールしていますので、別の場所に行くことをお勧めします」

「yep(ああ)」

こうして彼らは壬生狼から身を隠すために、ほかの場所へと移動をはじめた。



(移動するべきじゃなかった)

新撰組の4人を目の前にして心底、鉄之助はそう思っていた。

「はぁ…はぁ」

4人はいずれも息が荒い。それは男を二人も目の前にしているからである。

「あんたには縁があるねぇ。嬉しいね」

「こっちは嬉しくないですよ。近づいたら…う…撃ちますよ」

「撃ったらアンタらは新撰組を敵に回すってこったよ?いいのかぃ?…へっへっへ♥」

土方が指をうねうねと動かしながら聞いた。

「いいも悪いもねぇ。撃たなきゃ切り殺される」

美星はすでにハンドガンを構えていた。

「その通りヨ。撃ち殺すしか道なんてナイ」

ロザリーも帯から銃を二丁取り出して撃鉄を起こした。

「tetsu? will you do?(出来るな?鉄?)」

パーカー氏もホルスターから銃を引き抜いた。

臨戦態勢である。

当然、鉄之助も銃を抜いてハンマーは起こしてあるが、震えていた。


(もうちょい連れてくるべきだったわね)

永倉はそんなことを考えていた。

沖田は、何やら楽しそうに笑っているが、顔が青白い。体調が良くないのは一見すれば分かった。

サノは今日は槍ではなく、刀だけの装備だが、戦力にはなるはず。土方はヤル気に満ちていた。

とはいえ、相手も素人ではないことが分かる。それは、銃の構え方がしっかりとしていることで分かった。

銃口がぶれているのは一人だけ。おまけに、老人までもが銃の扱いに慣れている。

女二人の銃口はぶれず、沖田、永倉、土方を狙い続けている。

撃てば、外すことは無いだろう。

(だが、銃は弾込めが必要だ。たとえ連発式だとしても刀の方が速い!)

何かきっかけさえあれば、双方が動き出す

そんな時だ。

「グフッ」

沖田が喀血したのは。

「総司!」

意識がそれた瞬間に、ロザリーが袂から煙幕催涙玉を地面に投げつけた。

すぐにスモークが辺りに立ち込め視界が、奪われる。

その隙に、鉄達四人は路地へと逃げ込んだ。

「クソっ目が開けられねえ!」

目が痛い。涙が止まらず視界はグシャグシャ、よろけてその場にたっていることがやっとの状態の新撰組の四人は、スモークのお陰で獲物を見失う事になったのだ。


3


「なんとか撒いたな。それにしても、そのお面いつから持ってたんです?」

狐の面がロザリー。翁面がパーカーで、鉄が天女、美星はなぜか般若だった。

それぞれ、面の裏の目の部分にはレンズがはめのんであり、口の部分は防火布を加工したものが張られていた。

これなら短時間であれば、催涙効果は防げる。今で言うならガスマスクだ。

「もちろんここにつく前からよ」

「後ろから被せられたときは、なにかと思ったがなかなかやるなあ」

美星が珍しく誉めていた。

移動しながら、面を外し、懐にしまうと、鉄は第一拠点である旅籠に向けて動き出した。


「おう、けぇってきたか~ぁ」

お珠は酒をやりながら、四人を出迎えた。

「昼酒タァいい身分ヨネ」

一番に虫でもみるような目で、お珠を見下したのは、ロザリーだった。

「仕方ないのらぁ。美星が鉄さんと逢い引きしてるのを忘れるには、飲まなきゃならねえんら」

呂律が回っていない。相当に酔っているのだとわかった。

「お珠さん。あんまり飲み過ぎちゃダメですよ」

「鉄さぁん、寂しかったあ…!!」

「あーもう。そんなに泣かないでくださいよ」

持っていた手ぬぐいで珠の涙を拭いてやると、がしぃ。

と手が捕まれた。

「鉄さんのいい匂いがする…!えへぇ♥️えへへぇ♥️」

すんすんと、お珠が鉄の懐から出した手ぬぐいの匂いを嗅いでいた。

「困ります!こんな所で!」

「……離さねえ、すん…すん…はぁ♥️…いい匂いだ♥️」

「ひぃぃ…!」

とひとしきり鉄がびびるまでになって、

「stop it」

パーカー氏から静止がはいった。


4


「大丈夫てすよ…歳さん」

沖田は永倉に肩を貸してもらいながら、何とか立っていた。

「何がだ。お前は永倉と屯所に帰って養生しろ」

しかし歳三は沖田を休ませることを第一とし指示をだす。

「永倉すまえねえが、頓所に送り届けてやってくれ。おれらももう一回りしてから返る」

「わかりました」

「それにしても、どこかの間者だったんですかねぇ」

サノがつぶやくのに

「ああ、わからねぇ。わからねぇが煙玉を使うとなりゃ、油断はできねえ。それにあんないい男を逃すわけにはいかねぇ」

「さすが副長!」

「くくく…捕まえて、みっちり絞りあげてから、犯してやる♥️」

サノは土方の目の中に♥️が見える感じがした。


「新装備はこの煙弾と新しくなったピストルですか」

「あとは口径も0.35拡げてあるし。バレルを長くしたのヨ!凄いでしよ!」

ロザリーは新装備を説明しながら満面の笑みを浮かべていた。

目の前に並ぶ、新型銃、そして先程のお面、それに煙弾と爆竹と新型銃の弾のサンプル。

「イギリスに設計図を送り、あちらで製造させたのヨ」

「my cantry was happyed and prised」

パーカーしも隣で鼻を高くしていた。


「見つからねぇなあ。男と男の異人だぞ。何で知らねぇばっかりなのよ?」

歳三はイラつく。

どこを調べても、知らない。と言われ、足が疲れたために一休憩入れる為に茶屋へ入った。

「今日はもう上がりましょうよ。歳さん」

サノは集中力が切れかけていて、つまらなそうにしていた。

「バカ。ヤられたらヤり返すのが喧嘩だろうが」

ひどく下卑た笑みが薄気味悪い。

多摩を出てからも、歳三のバラガキは治っていない。

「勝ったら好き放題だ♥️、下に組みしいて、殴りつけてから、公衆の前で犯してやる♥️みっともなく、アタシの膣に子種をぶちこませてやる♥️」

土方歳三に捕まったら最後、ヤリ捨てされる。ヤられて、もし歳三の膣にでも出そうものなら相手の思う壷である。その場で…


「身体は正直だなぁ?実は淫乱なんだろ?」

などと謂れのない、レッテルを貼られることも十分に考えられた。

「やだあ!助けてくれえ!肉竿になんかなりたくない!助けてえ父さぁん!」

「うるせえ!お前が父ちゃんになるんだよ!」


…と言うような逆レイプをされ、まさしく、御禁制の春画にでてくるような状況になってしまう。

よっぽどのマゾか変態でなければ納得できるはずもない。

「絶対見つけてヤるからなぁ❤️」

歳三はニタニタし通しだった。



「うう…寒気が」

「デェ丈夫かい?」

鉄が悪寒を感じて身を震わす。とお珠が気遣って声をかけた。

「今日は寝たほうがいいんじゃないかい?」

「そうします」

そういって隣にある自室に布団を準備し、帯を解き始めると、複数の視線を感じた。

「お珠さん、見えてますよ、それに、ロザリーさんと、美星さんも」

「……」

障子と襖が開き、障子側からロザリーが、襖側からお珠と美星が姿を見せた。

「す…すまねぇ」

「sorry」

「脱ぐだけで、覗くほどたまってるんですか?」

「……ぐっ、そっそれは、そのう」

三人はその場に正座をして頭を下げた。が

「別にいいんです。女性の体質は知ってるつもりで、少しからかっただけですよ」

「許してくれるってのかい?」

「でも、あんまりあからさまに覗くのは禁止ですよ」

鉄は軽く言って静かに襖と障子を閉めるのみで、特に怒りはしなかった。

「おかしい」

「おかしいな」

「Strange(おかしい)」

が鉄の反応に納得がいかなかったのは、お珠、美星、ロザリーの三名だった。

「だよなぁ。普通はなにみてんでぃ!って代官所に訴えられるはずなんだがなぁ」

「ワタシもおかしいと思う。意見に賛成ヨ」

「鉄さんホントに具合がよくねぇんじゃねぇか?」

考えるが、その日一日かかってもいい知恵は出そうになかった。

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