第3章_8 不安な気持ち
「じゃあ、親父帰るね」
「おー、運転、気を付けろよ」
「はいはい」
ハルが先に車に行くとお父様は私を呼び止めた
「幸世さん、陽斗のことよろしくお願いします」
「いえ、こちらこそです」
「それと。最後にもう1つだけお聞きしてもいいですか?」
「はい」
「………?」
「○○です」
「幸世、何してるの?」
「うん、今行く~
……では、失礼します」
「親父と何、話してたの?」
「うーんとね、陽斗のことよろしくって」
「何だ、それ」
「いつまでもハルのこと心配なのよっ」
真っ白な雪は山を下りていくと、どんどん、溶けていき、山肌が見え始める
何故か淋しい気持ちになった
彼のお父様のこと、もしかして…と思うことが、1つ浮かんできた
「ねぇ、…ハル、もし、もしもよ、私のお母さんが昔好きだった人、あの木の思い出の人がハルのお父さんだったら…」
「えー、まさかぁ、そんな運命みたいな話あるわけないじゃん」
「でも、お父さんやたら、私にいろいろ聞いたでしょ?」
「うん、
でも、もし、そうだったとしたら…俺は嫌だな
親父が母さんじゃない人のこと忘れられないってことだろ」
「そ、そうよね」
「ごめん、変なこと言って」
「もう、余計なこと忘れようよ。
俺たちには関係ないでことだよ」
「うん、そうだよね」
私は景色の中に少しずつ増えていく色をただ眺めていた
隣にいる彼の鼻歌を聞きながら、幸せな気持ちとどうしようもない不安な気持ちが入り交じり、咄嗟に運転する彼の骨ばった手に自分の手を重ねた
何も言わず握りしめられた温もりを離したくないと心から思ってた
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