冬虫夏草の夢 Ⅱ

俺の屍をくれてやる

焼くなり煮るなりどうにでもしてくれ

そう言って俺は背を向ける

背を向けた瞬間から

それすら思い出に風化する


思い悩むのはやめた

思考に溺れ立ち竦めば窒息し

自我すら崩壊

脱け殻の俺は

操られる人形に成り下がる


実に下らないだろう

支配から逃れて堕ちた底辺で

結局、支配されながら生きる

全て台本通りに進む

マリオネットでしかない人生


不良品にも不良品なりの

意気地いきじってものがある

気に入らないなら遠慮なく

スクラップにしてくれて結構だ

こんな俺の屍でも役立つだろう


冬虫夏草おまえらの苗床くらいには




    『冬虫夏草の夢』 完





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冬虫夏草の夢 涼月 @ryougethu-yoruno

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