第四話 疲労 苦労 徒労

 うっ·····ウェェェェェえええ


「ふむ、情けないのう」


 悪かったな なんせすんげぇ揺れてたんだもん

 てか、リーナちゃん平気なの?


「ここは····· ミリバール山脈の麓辺りでしょうか」

「ふむ そうだな」


 ミリバール、ミリバール·····

 ドルナーグ王帝国とビリセス皇国の国境の境目にそびえ立っている山脈。

 東側に皇国、西側に王帝国となっている。

 皇国との関係は平衡を保っていて良いとは言えない。


 マジかぁ~ でもここってどっち側?


「リーナさん こっちって王帝国側ですよね?」

「はい、王帝国の領地ではありますが、この辺りは、なんせ治安が悪くて···」


 治安が悪いのか、じゃあリーナを1人にしてはダメだな。


(おい、ここって王帝国のどこだ?)

(ん? あぁここはリール地方だ)


 意味分からん、単語がまた出てきたぁ〜

 まぁ王帝国の1番東ってとこだな


「リーナさん そのこれからどうします?」

「そうですね、私としては王城に戻りたいのですが、マサキ様はどこまで行くかれるのですか?」


 なんも考えてないんだよなぁ〜

 この国の首都にでも、

 首都、首都、首都わぁ


「コンセルジオという町まで行こうかと」

「本当ですか!?王城もコンセルジオにあるのです!

 その·····ご一緒させて頂だいてもよろ」

「よろこんで!」

「ありがとうございます!」


 リーナがパッアアっと笑顔になった。

 駄目だ、惚れそう、なんて悪魔的な笑顔なんだ

 とまぁちょっくらコンセルジオまで、行ってどうするかだな

 てかさお金って一体ナンボでんねん!って·····100コリア

 これを日本円に換算すると1コリア=1000円だから、10万か

 俺ってこんな大金持ってたんだ·····


 まぁいい、一様お金の単位を確認してみるか

 1ルフ=10円

 1オール=100円

 1コリア=1000円

 1ミア=1万円

 これ以上は紙幣になるのか。1円とか無いから計算が楽だな

 まぁこれくらいにして、お姫さんをコンセルジオまで送っていきますか!

 と言って、歩こうと1歩踏んだ瞬間、後ろグッと引っ張られた


「うわぁぁあ」

「まさき様!コンセルジオはこちらですよ?」


 うわぁぁあ、まさかの方向ミス炸裂ぅうう

 マジで死にたい。あんだけイキって方向音痴って痛い子じゃん


「まぁ 気を直して進んでいきましょう!」

「そ、そうですね。」

「うむ そうだな、お主達を首都まで送り届けよう。」


 くっそー、リーナちゃんのフォローが心刺さるぅ~

 しかも苦笑付きで、·····ハァ

 最初踏み出した方とは逆の方へと新たに踏みなおし、コンセルジオに向け、3人は歩みはじめた。




 えっーと、ここから10キロ先までは平原を歩き続けるのか!

 マジかぁ~!?なんか、こう楽していけねぇの?魔法使えんだからさぁ

(おい、魔法で移動できねえのか?)

(なんだねそんなに楽したいのかね?そんなん事言ってたらリーナ嬢にきらわれるぞ)

(おい 出来るか、出来ねぇかきいているんだが?)

(ハァ〜 出た出たソレだよ君、そういう所だよ

 まぁ出来んこともないが?)

 おっと、これは凄い嫌な予感しかしないですねぇ

 なんせ、最近似たようなことを経験したからな

(やっぱいい)

(そうか、これ以上見っともない所は見せられんもんのう)

(それ以上、何か言ってみろ自殺してやるからな)

(ハッハッハッ、出来もせん事を)

 いやいや やる時は俺はやっちゃうよ?マジで

 もうそろそろ4キロは歩いただろうか、景色はなんら変わらないが

 足が痛くなってきたので進んでいるということは分かる


「リーナさん、足大丈夫ですか?なんなら少し休憩でも」

「いいえ大丈夫ですよ!こう見えても剣術をやっていて足腰は強いんですよ?」

 っとニッコリ


 俺はそのままつられて、ニッコリ?出来たと思う

 すごい引きつった顔になっていたとおもう

 てか、もう俺の足は取れそうだよ。

 それにしても魔物らしきものは一切見ねぇなぁ、洞窟の中には

 いたのにこの·····ウェール平原か ここを抜ければまた洞窟があってそこを抜け、抜けたところの森を抜けると...ってくっそ遠いなぁ!


「ここから1番近くの村とかってないですか?」

「ここからだと···· リーンという町ですかね?ここからだと

 目と鼻の先ですよ!」

「そうなんですか! そりゃ良かった 取り敢えずそこで宿を取りませんか?」

「そうですね 暗くなると魔物のよって来ますし、リーンに寄りましょか」


 よし 何とか野宿は回避と、だって気がついたら横に魔物とか虫とか寝てたら、俺死ねる自身があるわ

 それにしてもこの世界、日本でもないのにことわざみたいな物が存在するんだな。なんかホッとするようなせんような


 横目でリーナちゃん見るけど、苦しそうもなく歩いてやがる

 向こうの世界で運動しときゃ良かったと後悔するわぁ

 もうそろそろウェール平原を抜けるな、もうあれこれ2時間ぐらいぶっとうしで歩いている。最初の場所からギリギリ目視できる洞窟の入口はもう目の前まで迫ってきていた。

 やっとか、やっと休める 最高ぉ!


「洞窟に入る前に1度休憩を挟みましょう」

「そうですね、ずっと歩いていましたからね。1度休みましょうか」


 あざす 助かりました。なんせ足があるか分からんぐらいに感覚がねぇんです。

 高校生言うても何っにもしてない奴が初っ端から10キロ以上もってなると、ヤベェわ

 それと、ジジィは魔法で浮いて歩いてねぇしよ、たっく楽しやがって

 まぁ取り敢えず座わりたい、何もしてなくても、プルプル震えてやがる。リーンまではここを抜けたらあとどのくらいなのかな リーンって町は俺の頭のMAPにはなかった


(おい、リーンってほんとにあんのかぁ?俺のMAPにはねぇんだけど)

(あるわい よう見てみい、ちゃんと渡しあるわ)

(探しても無いから言って····っておいまさかこの赤くピコピコ

 光ってる奴ですか?)

(うむ、そうじゃ、な?あったろ)

 まてまてまて、ここがコンセルジオなんじゃねーの?嘘だろ

 リーナは目と鼻の先って言ってたんですケド

(あのー ここからはどのくらいかかるんでしょうか?)

(このまま歩き続けて、2日半ぐらいかのぉ)

 ふ 2日だと·····そ、そんな馬鹿な


「この辺りで1度休憩をはさみましょか」

「そ、そうですねハァハァ····1度、休みましょう」


 バタッとその場にだらしなく寝っ転がる、休憩すると決めて残りの6キロを歩ききったのだ。あの子の体力は、化物じみてやがる

 ちなみに今何時何だろうか、歩きはじめた時は太陽が真上ぐらいにあったから正午近くだっただろう。

(いま何時か分かるか?)

(今は日本時間でいう3時半だな)

 そうか、通りで腹が減ってきはじめてた訳だ。この世界に来て

 何も口に入れてないし、なにか食べ物が欲しいところだな


「リーナさん お腹空きませんか?」

「そうですね、私もお腹が空いてしまいました」

「うむ、では取り敢えず今日はこの辺で腰を置くか、誰かはもう

 足がプルプル震えとるしな」


「あ?喧嘩なら買ってやる」

「おぉー こわいのぉ年寄りになんてことを言いおる」

「まあまあ、まさき様落ち着いて下さいな」

「ねぇ リーナさんやっぱり"様"付けやめてくれないかな?それと敬語もとってもムズ痒いです」

「えっ?そ、そうですか。分かりましたでは、私の事も同じようにしてください いいで···いいかな?まさき?」

「う、うん分かったよ リ···リーナ」


 とっても上機嫌になったな。てか女の子の名前を呼び捨てにしたの初めてなんですケド コレってメッチャハズいな

 さてさて ここから寝床作りか、って道具もなんもないし

 どうやってつくるんだろうか

(寝床ってどうやってつくんの?)

(木を切ってきて魔法で組み立てようかの)

 やっぱ 便利だな魔法って俺も覚えたい

(なんか俺でもできそうな、魔法ってないのか?)

(わからん、お主の特性やら才能やらで変わってくるからの

 まぁリーンに着いたら分かるわい)

 リーンまでね...俺が生きてたら頼むわ


「では、ここで寝床をつくりますか、なにか木を伐採してきますね」

「あっ、俺もついて行くよ」

「では、我は何か口に出来りものを探してこよう」


 と俺とリーナは木を取りに、

 ゼウスは食べ物を取りにいきました。

 最短のリーンまで2日半って、遠すぎませんかね?

 とリーナの後ろを歩きながら考えていた。

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