第15話 約束をしよう

「ふぅん、留学」


ミオはストローがささったカップを置いた。


「英検3級ごときのあんたが~?」

「う……それ以降は取ってないだけ……」


店内は休日昼過ぎというだけあって、騒がしかった。


「それで?何か相談?」


「ミオに……」

「え、何って?」


「ミオにっ、止められたら、やめようと思ってるっ」


ミオはレイをじっとみて、それからまばたきした。


「なにそれ?なんで私?

意味わかんない、行けばいいじゃん」


「……俺も、なんでそんなこと思ったのかわかんなくて……」


「へんなの」


「……すまん」


ミオは結露して濡れたカップを左右に振った。


「そうだ、進歩状況ちゃんと報告してよね

電話とメールとビデオ通話と手紙と美味しいお菓子、寄越してね」


「おう」


「あーっ、羨ましいなぁ……

万物の理論かぁ……指標だ、あらゆる物事の

そこから全てが始まる

やっと、スタートラインに立てるんだ」


レイはミオの指の矢印の様子に、違和感があった。


「っと」


レイはカップを掴んだ。


「滑りそうだったぞ、気をつけろ」


「ありがと……」


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