第3話
「はぁ。」
今日、今日の放課後から、さっそく一回目のアルバム委員会が…
決まってしまったことだから、もう何も言えない。
内申のためだと思って頑張るしかないな。
「よっ、アルバム委員!」
と、後ろからクラスメイトと思われる奴が肩を叩きながら声をかけてきた。
「どーも。」
素っ気ない返事をとりあえず返しておいた。
今まで名前の知らないクラスメイトに、声をかけられたことなんて無いからだ。
「ちゃっちゃと教室に入っちゃいなよ、彼女待ってるよ〜」
「いやいや、彼女じゃないんですけど。」
なんて、中学生みたいなやり取りをコイツとしながら入ると
「〇〇さん、彼氏やっと来たよ〜」
と、クラスの女子達とそれ以外の奴らの視線が飛んできた。
溜息なんてつけないぐらい呆れてしまった。
だが、それは彼女以外のクラスメイトへのものだった。
また違うのだ、彼女だけ。
僕の方なんて見向きもせず、ただ窓の外の桜を見ていた。
「おいおい、お前らもう倦怠期か〜?」
なんて、さっきよりも更にレベルの低いちょっかいを出してきたが、そんなことは右耳から左耳へと通り抜けてしまった。
「ほいほい。」
と、適当な返事だけ返して自分の席へ行った。
何故か彼女への興味が湧いてきて、自分の席へついているにもかかわらず、彼女の横顔に釘付けになっていた。
その横顔にはどんな感情が籠っていなさそうで…
「おはよう。」
「え?」
感情が籠っていなさそうだったはずの顔が…
「おはようって言ったの。」
クスッと彼女が笑ったのだ。
「お、おはよう。」
あまりにもさっきまでと違いすぎる。
何故だ…
彼女は、僕の挨拶を聞いただけで少し満足そうな顔をした。
そしてまた、桜の方をなんの感情も無さそうな顔で見た。
まだこのクラスになって、彼女の後ろの席になって二日。
二日しか経っていないはずなのに、沢山の'何故'が出てきた。
『ねぇ…』
ピンクニマギレタミドリ 浅葱ヒカリ @asagihikari
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