地下7

都市内照明はまだ稼働しておらず、作業用の照明のみが煌々と都市を照らしていた。


「ほぼ完成しているようですね、住宅地ですか?」

空洞都市としては広々とした空間に等間隔に小さめな建物が並んでいる様子を見ながら、日向は平沢に話しかけた。

「ここは高級住宅街として売り出される予定です。この人口1500人の空洞都市一つを動かすのに、推定人口25000人の1層15都市分、人口7000人の2層と比べてすら5都市分のエネルギーを消費する計画になっています」

「委員会は、いや、地下鉄はどこに行こうとしているのでしょう?」

「私はこの旅を通じて一つの希望のようなものを抱いていました」

「何ですか?」

「この旅で、委員会を転覆させられるだけの事実を掴めるという希望です。今の委員会は強大すぎます。都市を一つ潰すなんて造作もないことです。地上汚染が委員会による作り話だとバレたこちが以前ありましたね」

「ありました。私はまだ学生でしたが」

「あのとき、委員会は都市を3つ消しました。地下鉄のダイヤから外し、エネルギー供給を止めたのです。逃げようとした住民には武装車両が襲いかかりました」

「急にデモが沈静化したのはそれが原因だったんですか…」

「ええ、私は止められなかった。座して25000人が死んでいくのを観ていることしかできなかった…」

「そんなことがあっても都市が違ったら何もわからないんですね…」

「サスケが教えてくれた地区へ行きましょう。希望的観測ですが、そこに何かがある気がするんです。でないと委員会が頑なに視察を拒否する理由が分からない」

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