第11話 変容

 邪神の作り上げた侵略基地、そこに漂う闇の魔素が、この世のものならぬ奇怪な生物を生み出していた。

 全身を毒の針に覆われ、無数の足を持ち、ただ、際限のない食欲を満たすためだけに這いずり回る、人間の想像をも超えた生物。

 毛虫である。


「最近よく見かけるようになった、毛虫は危険なのです」


「毒を持っているのです」


「刺されると死ぬのです」


「怖いのです」


「ふっふっふ……」


 まるで地の底から湧き上がるような笑い声!

 恐るべき毒を持った生物でも、邪神の前では無力に等しいというのか!


「今度からは、この棒を使って追い払うのです!」


 邪神が取り出したのは、名状し難い木の枝のような棒!


「早速、毛虫を追い払うのです!」


 毛虫の進行方向を変えるために、枝で突いてみるが、事もあろうことか、毛虫があらぬ方向へと動き出す!


「毛虫が棒を登って来るのです!」


「大変なのです」


「早く棒で追い払うのです」


「棒に毛虫が付いているのです」


「手まで登って来たのです」


「クピャー!」


 クトゥルーは毛虫に刺された。


 だが!

 邪神は奇怪な生物を生み出し、地球を侵略しているのだ!

 そう、君の直ぐ側にも、邪神によって生み出された、この世ならざる生き物が這いずりまわっている……。

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