第19話 場所のせいでアトランティスっぽい

 私たちはルルイエ二号での実績を買われて、月一のメルティ退治の合間に本社アトランティスの遺跡調査の警護をすることになった。


 ネイさんたちの塔と同じような遺跡をこっちと別の会社が大西洋で見つけたらしい。そして、その遺跡は、「つい最近」、破壊されたような跡があった。


 アトランティスはアメリカのマサチューセッツ州の会社だ。言うときに佐久間先生も、助手の女の人も噛んだ。なので社内の人は街の名前で「アーカムのほう」と呼ぶ。

 それはともかく、あちこちに子会社があり、そのままアトランティスだったり、こっちと同じアトランティカだったり、アトラスだったり、似たような名前をしている。

 そして今回の子会社はアメリカにあるので、私たちはアメリカにわたってから、現地に向かうことになる。唱女同士なら石でなんとかなるけど、あとはどうするんだろう。通訳とか、付くのかな。




 通訳は先生とカナデさんとサユちゃんだ。それぞれ私、マモルさん、マイカちゃんとペアを組んで行動する。遺跡へ向かい、呼びかけるような内容の歌をみんなで歌う。塔が生きてたら、ユイさんのような管理者さんに会える。


 ここの管理者さんはリディアさんという。ユイさんのように、造られたいのちを持っている三姉妹だ。眠っている二人はティリアさんとナディアさんという。


 リディアさんと話して、塔はユイさんのとこ『原初の塔』とここ『大洋の塔』と、もう一つ今の南極大陸のどこかに『山岳の塔』というのがあることを知った。

 そして、その山岳の塔を壊そうとしている人たちがいるということが分かった。


「南極って、自由に入れませんよね。不法侵入とか器物破損とかで、捕まえられないのかな?」


 サユちゃんがいうが、先生も通信先の本社の人(日本人でよかった)も、出来ないと即答した。


「まず、自由に入れないということはない。条約では領土を主張することや軍事行動、それと環境破壊を禁じているだけで、むしろ、科学的な調査などで自由に立ち入ることができると謳っているんだ。

 それと、原初の塔ふくめ、遺跡群とルルイエ二号に関する情報は国際的に開示されていない。だから、存在しないのと同じだ。存在しないものを壊す人がいる、という通報はできないな。」


 かといって、アトランティスで守るのも難しい。まず、どれだけ装備を整えても、一日数時間ずつ、一週間くらい滞在したら、港に戻らなくてはいけない。そうやって滞在して塔を見つけて、それを守るだけの人数の武装した人を派遣するのはとっても難しい。


 本社と話をして、派遣してくれることにはなった。でも、時間がかかるだろうなぁ。当然というか、私たちも行かされる。そのための装備も持ってきてくれるとのこと。


 翌日、予備人員として待機していた後輩の一人が装備を運んできてくれた。物資は一人当たり20㎏くらいあるらしい。



 どこかにキャンプを張り、合計三時間くらいの外出であっさり塔を見つけた私たちは、装備を後輩たちに託して根元の遺跡に侵入した。

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