これが本物の拳!! 遂に見つけた約束の地…!?
リブレント草原のど真ん中、少し周りを見渡せば様々なモンスターが生息している
先程から好戦的なモンスター【
それもその筈、ミリアーナが辺りに殺気を放ちモンスター風情では身動きすら取ることは出来なくなっているからだ
「来ましたわね…もう夜になりましたわよ」
ザッザッと足音を立てながら凛汰郎は、ミリアーナの元へ歩み寄る
そして、互いに拳が届く間合いにまで距離を詰めるとミリアーナは小さくクスクスと笑い出す
「失礼しましたわ、だって…こんなにも近い距離で貴方の真剣な表情を見たら…不意に笑いが込み上げてきたのですわ」
「それじゃ、最後の修行を始めますわ」
ミリアーナはそう言って肩の力を抜き、一歩で数十
前傾姿勢になると、ミリアーナの体の周りに全部で十二本の様々な形の剣が現れる
「《
ミリアーナは、宙に漂う十二本の内の一本
黒く禍々しい形のその刃には七色の宝石が埋め込まれ、柄の部分には金色の御札の様なモノが巻かれている
「これが貴方達…魔族を穿つ聖剣…」
「その名を【退魔斬血ディザスター】」
サーベルに似た形状の剣を両手で持ち、自身の前に掲げ詠唱を始める
『我、御言葉の勇者ミリアーナ也』
『汝が憎むは我に
詠唱が進むにつれて雷雲が唸り上げ、ミリアーナの甲冑を改造した様な鎧も、黒いアゲハ蝶の様な大きな羽根を生やし胸にはサラシを、下には黒の袴の姿となる
『轟く血潮は天を穿、猛る武士は大地の誉』
『輪廻転生の時を迎うる魂、今ここに集え』
凛汰郎は理解した、最後の修行の内容…
それは、勇者ミリアーナの一撃を全身全霊を持って受け止める事だと
『天翔る星の伊吹に乗り、雷霆は宙を舞う』
『悪鬼断罪の力を此処に……』
凛汰郎も大きく息を吐き、ポケットから1錠の黒い塊を取り出し飲み込む
最大の力に抵抗するならば…凛汰郎が扱える最も威力の高い攻撃を持って抗撃する
『神器抜刀、
雷雲から一筋の雷がミリアーナに直撃する、ミリアーナの青い髪が金色に輝き、ディザスターを振り下ろす
ディザスターから青と黄色が交差する光の玉が放出され、雷を纏いながら凛汰郎へ一直線に向かってくる
凛汰郎は腰を深く下げ、上半身を半回転させ右腕を左腕で覆い隠す
右腕に黒の半透明なアメーバ状のモヤが溢れ出し、モヤが一気に収縮する
「試させて貰うぜ…先代魔王が残した…」
「《 強制魔力解放剤》をな!!!」
少し助走をつけて、地に足が減り込むほど踏み込みミリアーナが放った一撃に向かって走り出す
「【
二人の一撃が衝突した瞬間、草原の中心から隣の亡国コルドットまで届く白い閃光が放たれ爆発し、その衝撃は音を置き去りにした
光が治まったのはそれから1時間が経過した頃だった…辛うじて反応できたミリアーナは軽傷で済んだが…
白爆発の中心にいた凛汰郎の事を…ミリアーナは諦め嘆いていた
「魔王様…何処なのですか!!」
「魔王ちゃん!! 返事してよォ!!!!!」
アリアとシャルは瓦礫を退けながら凛汰郎を捜索する…諦めたくはないからだ
そして、ふと爆発の中心を見ると…火傷を負いながらも辛うじて呼吸をしている凛汰郎を発見した
アリアは直ぐに駆け寄り、応急処置を施した後リブレントの教会まで転移した
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「あ〜…死ぬかと思ったぞ」
教会のベンチから体を起こし、シスターに貰った水をグビグビと飲み干す
体の方も火傷の痕も残らず完治し、もう充分に動いても良いと許可をもらった凛汰郎は立ち上がろうとするが…フラフラとよろめく
「流石にデメリットは回復させられないか」
「先代魔王の遺品だが…これを使ったら本当に魔力が空になるまで使わせられるからな」
凛汰郎は青白い筒に入った薬を弄びながら深くため息をつく
《強制魔力解放剤》アリアに頼んでおいた用事の一つである
この薬を使えば、例え幼児でも存在的に所有する魔力を全解放させられる…言わば諸刃の剣の様な薬
1錠だけでも全魔力が解放され、使用後は体内の魔力不足により動けなくなるのがネックだが…
それを効力すれば良薬となる
「実戦では使えないな、避けられたりしたら死ぬのが確定的だからな」
「まぁまだ奥の手はあるし…満月までは時間もあるからそれまでに間に合えば良いか」
凛汰郎はアリアに支えられながら立ち上がり、教会を後にしようとする
そんな時、落ち着かない様子でシスターが凛汰郎を呼び止める
「あの…今お時間大丈夫ですか?」
「リンタローさんに相談したい事があるのです…少しだけで良いのですが…」
凛汰郎は聞きたいのも山々だが…何分時間が無い為断ろうとした時…目の前に
「そこを何とか…お願いします!!」
シスターが礼儀正しく膝に手を当て頭を下げた瞬間…
シスターの爆乳がムギュっと押し出されチラリとだが…ピンク色の何かも見えた
凛汰郎は不意に顕現なされたピンクの輪に完全に打ちのめされ…
二つの鼻腔から血がダラダラと出てきた
「聞きましょう!!いえぜひ聞かせてくださいむしろその姿勢のままでお願いしゃす!!!!!」
――凄い…
凛汰郎の滑舌が炸裂し、興奮の余り早口となったそれは…明らかに普通の女性ならば引くのが理の言動である
「姿勢? あ…ありがとうございます」
「あまり人に聞かせたく無いことなので…奥の方へ来てください」
シスターはそう言って教会の祭壇の裏にある扉を開けて行ってしまった
「魔王様のご趣味は修道服…なるほど…」
「でしたら直ぐに絹糸を用意して…ブツブツ」
アリアが突然ブツブツと言い出したが…凛汰郎は面倒なので敢えて聞かず、シスターの後を追って扉をくぐった
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