あとがき

01

 完結しました。

 三十二万字以上、原稿用紙換算で千枚くらい(文字数だけで単純に割ると八百枚くらいですが)書いたことになるでしょうか?

 この何倍何十倍と自分よりはるかに速いペースで書いておられる方々は本当に尊敬に値します。 

 実質初めての長篇小説です。

 趣味で小説を書き始めたのは中学生の頃、まぁ御多分に洩れず中学高校の頃には大長篇を構想しては書き散らして放り投げるを繰り返していたものです。

 原稿用紙十枚を目処にした短編を書き始めてからポツポツと完結まで書くことができるようになったのですが、これは脚本家になろうとして専門学校の授業を受けてからのことです(脚本に関していえば、自分が主宰している人形劇団の上演作のほとんどを執筆しているので脚本家にはなったと言えるのではないかと思っております)。

 物語の作り方を習ったことも大きいのですが、飽き性の自分には短編の方が性に合っていたのもあるのでしょう。

 このミクロンダンジョンという作品も最初から長篇だったわけではありません。

 本篇「始まりの迷宮」部分のみの短編で、漫画でいう連載前に読み切りでお試しするような感じの作品として構想した物語です。

 過去に書いてきた短編をweb投稿するようになって、他のそれなりに綺麗に終わっている小説と違って物語の発端、導入部分だけというミクロンの登場人物があまりにも不憫に感じたのと、そろそろ長篇小説に挑戦しようという気になったことが今回の執筆の動機です。

 多分、根がものぐさなので単なる趣味で書いていたならきっとまた途中で放り投げていたことでしょう。

 webで発表、それも月二回投稿と宣言して書いたことと、人気作とは比べものにならないものの投稿すれば誰かしらが必ず読んでくれたということが完結まで書けたモチベーションになったことは言うまでもありません。

 さて、物語は構想ノートというのが残っていました。

 最初に書いたのは短編なのですが、その前後のことが本当にざっくりした箇条書きで書かれていたのです(例えば、ロムたちが部屋でダンジョンのあるとみられるおもちゃ屋を見ている頃にはすでにいくつかのダンジョンを冒険している……などなど)。

 記憶には残ってないのですが、もしかしたら長篇化も構想にあったのかもしれません。

 まぁ、なんかあまり使えない感じだったので(というか「これはエタるわ」っていう先が見えた)その箇条書きを一応のベースにしながら再度構想を練り直し、こんな感じで終わらせるぞと一応の筋書きが出来上がった段階で執筆を始めました。

 もちろん最初の構想なんて実際に肉付けを始めると調整が必要になるわけで「ラストダンジョン」以降は書き始める際に改めて構想を練り直し、三回くらい軌道修正したものです。

 それでも基本のあらすじは変更してないあたり、頑張ったんじゃあないかと思うよ、自分。

 物語は一応ロムを主人公に据えて書き始めているのですが、読み返してみると、ロムの印象はどちらかというと薄い感じがありますね。

 主人公一人に焦点を当てる作風が得意で群像劇は不得手だと思っていたのですが、どちらかというと群像劇風な「みんなそれぞれ頑張ってる」っていう物語になっていた気がします。

 多分、第三人称で書かれているのとロムの性格がそうさせたのかもしれません。

 劇中冗長になるからといくつかのことに敢えて言及していな買ったりしますが、一つだけここあとがきで言及しますね。

 劇中唯一と言ってもいい悪役キャラクターとなっているシュウトとほとんど描写のないその仲間たちは日下部の管理下に置かれ、一部は服役するなどしているもののとりあえず日常生活を送っています。

 犯罪者をあの街に残すわけには行きませんからね。

 物語は完全な大団円とはいかなかったのもあり、新章突入的な終わり方をしていますが、この先の構想は全く考えておりません。

 もしかしたら何か面白い筋書きを思いつき書き始めるかもしれませんが、可能性はとても低いと思いますことをお断りさせていただきます。

 最後に、他の物語にも目を通していただければ作者冥利となりますのでよろしくお願いします。

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ミクロンダンジョン 近未来非合法冒険活劇 少女救出篇 結城慎二 @hTony

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