虚無と背中合わせに罪を犯す心地良さ

悔しい。最後まで手が止まらなかった。
『ラン・オーバー』に比べて静かで予定調和気味に話が進む代わりに、ヒロインと主人公の触れ合い、内心がよく描かれている。(あと比較的ヒロインが可愛い)
彼らの、死にたくさえならないほど何もない虚無感がたまらなく心地いいし、細かい蘊蓄も趣味が良い。この部分はもう文才とか以前に作者さんだけの持ち味なのだと思う。
でもだからこそ、この空白をきちんと暴力によって手に入る他者との繋がりで埋めて欲しかったというのが本音。

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