ただひたすらに芸術に生きる女子生徒

@curisutofa

芸術家の一日目

『では今日から、改めて宜しく頼むな優』


『ええ、絵美。私の方こそ宜しくお願いをしますね』


無事に組替えも終わり。同じ組の同級生となった藤原 優と私が挨拶を交わしていると。優の後ろの席の松永君が笑いながら。


『九条ちゃんのお母さん達も、かなり強引な事をするよな♪』


私は曾祖母から相続をした、古風な眼鏡の位置を手で直してから松永君に対して頷いて。


『通常学期中に、組替えは行われ無いが。私の御袋殿は、今まで芸術以外に何一つ関心を持たなかった私が。同じ美術部の部員仲間の優を九条邸に連れて行った事を大いに喜んでな。もしかして芸術狂いの一人娘の私に、男が出来るかも知れないと考えて。ここが私達の通う私立学校の理事の影響力の使い所だと考えてな、松永君』


私の説明に、美術部の部員仲間の優が軽く肩を竦めて。


『私は絵美に対して、友人以上の感情は抱いていないのですけれどね。九条理事にも、そう話してあるのですけれど。友人関係で構わないから、絵美と仲良くして欲しいと頼まれてしまいましたからね』


美術部に所属をしている、私と優の会話を聞いて松永君は頷いて。


『藤原も、九条ちゃんも名家の生まれだから大変だな。俺は極々普通の家の生まれだから、気楽な物だけれどな♪』


ボクシング部に所属をして、卒業後は自らの腕一本でプロのボクシング選手として生きていく事を決めている、松永君の鍛え上げられた肉体美を。私は曾祖母から相続をした古風な眼鏡の超能力を使い、制服を透視して眺めてから。


『松永君の鍛え上げられた肉体美は、芸術家として興味があるからな。今度私の描く人物画の画材となってもらえると助かるのだが?』


私が魔道具と呼ばれる存在の一つである眼鏡との契約で得た、超能力の一つである透視能力を使っている事を。私とは異なる魔道具と契約を交わしている優は気が付いているが。特に関心は示さずに。


『絵美は人物画で、品評会で賞を受賞していますからね。松永君も、若い十代の男子の鍛え上げられた肉体美の記録を残しておきたいのであれば。絵美の人物画の画材になるのは、良い事かと思いますね』


私と優の話に、松永君は判ったという感じで首を縦に振ると。


『確かに藤原の言う通りだな。考えておくよ九条ちゃん』


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