22話 魔物討伐戦2日目


二手に別れたフレデリックたちは、綾燕の能力スキルによって塞がれた道を破壊しながら前へと進んでいた。

沈黙する中。突然フレデリックが充に質問をしだした。


「綾伽さん、少し暇だし。僕が出した質問に答えてくれる?」


フレデリックの唐突な話に驚きながらも「別に構わないが、どんな質問なんだ?」と聞き返した。

フレデリックはニコッと笑うと「綾伽さんは今、洞窟のダンジョンの中にいます。そして奥へと進んでいくと、2人の男女が魔物に食べられそうになっています。さあ、貴方ならどちらを助けますか?」という内容だった。

充は変な質問に違和感を感じながらも、2人を助ける。と答えると。

その答えにフレデリックはつまらなそうに「普通の回答だね。」と言うと充は「何が言いたのかはっきり言ったらどうなんだ。」とフレデリックを睨んだ。

フレデリックは、フフッと笑うと「いや、この質問は答えはないんだけどさ。あまりにもありきたりな答えだから、つまらない男だなって思っただけ。それにね、僕の弟子にも同じ質問をしてみたんだよ。そしたら彼ね。その場の状況によるって答えたんだよ。つまり何が言いたいかっていうと、義経くんは感が鋭いのか、まず初めに男女に疑問を思ったらしいんだよね。だって大抵の人は男女と言われて20代くらいを想像するでしょ。でも文章を聞く限りそんな事は一つも言ってない。」と話を説明していると横から紫織が「つまり年齢不詳って事だよね。もしかしたら親子又は老夫婦と想像するのもありえるのか。」と興味深く頷き始めた。


「まあ、そういう事だね。次に魔物に食べられそうにという部分に疑問に思ったみたい。義経くん曰く、既に殺されていて食事の最中だったら助けてもリスキーなだけって答えてたよ。

本当に彼は将来有望になりそうだな。」


嬉しそうに話すフレデリックに充は「それは良かったな。まあ、俺には関係のない事だし。」と呆れる様子で話すと、フレデリックはクスッと笑い。

充の方へ顔を向けると「本当にこれを見ても関係ないと言えるかな?」と不敵な笑みを浮かべると、フレデリックは壁に手を触れると破壊せずに、静かに壁を溶かし始めた。

するとそこには5人ほどの人たちが、無数の暗殺組織アサシンギルドに囲まれている様子があった。

充はフレデリックの方を睨むと「ふざけやがって!仕組んでいたのか!!」とフレデリックの胸元を掴んだ。

フレデリックは何も動じない様子で充を見下ろすと「仕組んでいたも何も、僕は何も関係ないよ。それよりも早く助けに行かないと間に合わなくなるよ。それでもいいの?」と嘲笑う様に煽ると、充はフレデリックの服を離した。


「フレデリック、お前逃げるんじゃねえぞ。」


充がそう言い残すと、鈴がフレデリックの顔を見ながら「貴方、本当に頭おかしいわね。」と言いながら充の後を追って行った。

紫織も困惑しながら2人の後を追い。残されたフレデリックは充の方を見るながら「せいぜい僕のネズミとして頑張ってよね。」と笑った。


充は早く人を助けるために、固有能力ユニークスキル疾風雷撃しっぷうらいげきを使用すると、素早い速さで雷を操りながらあっという間に敵を一掃させていく。

そして周りに気絶している敵を拘束し終えると、5人の冒険者たちの元へと駆け寄った。

どうやら話を聞く限り。4人は仲間同士で、もう1人の少女は仲間と逸れてしまった際に、道中でたまたま暗殺組織アサシンギルドと冒険者たちの戦いに加勢したとのことだった。

その話を聞いた充は少女に「君が加勢したところで状況は変わらないし、寧ろ危険な行為だから無理に戦うんじゃなく。まず、人を助けにいくことが優先なんじゃないのか。」と少女に説教じみたことを言うと、少女は少し機嫌を悪くしたのか、少し強めな口調で「誰も助けてなんて言ってないし、寧ろ私1人でも十分余裕だったのに余計なお世話なのよ!」と怒っていた。


そんな少女の態度が気に入らないのか、鈴が少女に「ちょっと助けてあげたというのに、その態度はなに!」と突っかかり始めた。

女同士の口論が始まる中、フレデリックは退屈になったのか鈴に対して「躾のなってない女狐ってなんでこうも煩いんだろうね。やっぱり飼い主がだらし無いタラシだからっていうのもあるのかな。」と充の事を小馬鹿にすると、鈴はフレデリックを睨みながら「私の悪口はいくらでも言ってもいいけど充の悪口は許さないよ!」と今度はフレデリックに噛み付いてきた。

フレデリックはそんな鈴を無視して、少女の前まで行くと「一昨日振りだね。樺憐かれんちゃん。君も災難だったね。何せ、君1人でも十分に勝てた戦いだったのに邪魔されちゃって。」と言いながら充の方を見てニヤリと笑った。

充はフレデリックの言った言葉に苛立ちを抑えながら話をした。


「フレデリック、俺はお前のことを信用できないが、俺は困ってる人を見捨てることができない性格でな。周りの人にお人好しだとか言われたりするが。一つ俺が言いたい事は、お前の様な卑劣な奴が死ぬほど嫌いということだけだ。」


充がそう言い終わると、フレデリックは嘲笑うかの様に「まるでファンタジー世界の主人公になった様な言い方だね。それに今回の件は僕の仕業だと思っているみたいだけど、残念な事に僕は一切関与してないよ。ま、そんなこと言っても君は信じないんだろうけど。」と呆れる様子で話した。

充はフレデリックに「本当に関与してなくても俺はお前を今ここで倒すまでだ!」と剣の刃をフレデリックに向けた。


フレデリックは樺憐という少女の方を見ると「樺憐ちゃん、この事を組織ギルド管理局の上層部の人たちに応援要請を頼める?僕はこの単細胞の相手をしなくちゃいけないからさ。」というと、樺憐は戸惑った様子でいるとフレデリックがニコッと笑った。


「友達のメイちゃんが心配なんでしょ?彼女なら大丈夫、絶対に死にはしないから。だから僕を信じて、お願い。」


樺憐はフレデリックの目を見て軽く頷くと、その場にいた4人を引き連れて、地上へと目指した。

そして充はフレデリックの方を見ながら「悪のくせに随分と人間らしい事をするんだな。鈴と紫織は手を出すな。ここは俺1人でやる。」というとフレデリックはクスッと笑い「別に3対1でもいいよ。だって僕が相手するわけじゃないんだから。」とフレデリックがそう言うと、拘束されていた暗殺組織アサシンギルドの敵たちに、無数の剣を出現させると、そのまま串刺しにして殺し始めた。

充は警戒しながらも「一体、何の真似だ?」とフレデリックに訊くと。


フレデリックは不気味な笑みを見せながら「彼らはもう、僕の操り人形オモチャだよ。

さあ、たっぷり可愛がってあげてね。」というとアンデットとして蘇った魔物たちは、充たちを次々と襲いかかっていく。

だが充は襲いかかってくるアンデットたちを簡単に一掃し始める。

その様子にフレデリックは(やっぱり雑魚たちを蘇らせても雑魚だから簡単に倒されちゃうよね。さすがに彼らを殺すのはこの先に少し支障がでちゃうから。今は我慢しないと。それよりも、そろそろこの辺で引き下がろうかな。それにマーリンにも挨拶したいしね。)と思いながら立ち上がると、充に別れの挨拶をした。


「綾伽さん、そろそろ限界も近いみたいですし、この辺でお開きにしましょう。貴方もまだ死にたくないでしょ?」


フレデリックがそう言うと、充は「ふざけるなッ!お前をここで逃すわけにはいかないッ!!」と威勢よく怒鳴った。

フレデリックは諦めの悪い充に「あまり使いたくわなかったけど、仕方ないな。」と言った。

フレデリックはお面を外すと直ぐにガスマスクを顔につけ、懐から小瓶を取り出した。

そんな不番な行動に充は「何をするつもりだ!?」と訊くがフレデリックは無視をして、小瓶を地面に垂らし始める。すると周囲が青色の煙に包まれると同時に、その場にいた3人は静かに眠るように倒れっていった。


(ナイチンゲールから入手したこの薬。凄まじい睡眠薬だな。……彼女とはあまり関わらない様にしよう。)

フレデリックはその場から離れると、マーリンがいる層へと向かって行くのであった。


フレデリックは冷んやりとした薄暗い道中を進んで行くにつれ、激しい地響きのような音が段々と大きくなっていくのが分かっていた。

フレデリックは早く目的地に着くために、付けていたお面を外した。

すると宝石の様に輝くゴールドの瞳から、溢れるばかりの魔力が放たれていた。


(共有したばかりの能力スキルはまだ、身体には馴染まないけど。でもすぐに自分の能力ものにしてみせればいい話。)


フレデリックは右手に魔力を込めると、壁を一気に目的地まで殴ってみせた。

すると大きな音ともに、新たな道が切り開くのであった。

(やっぱりこの威力の能力スキルは凄いな。さて、あまり人に見せる様な能力スキルじゃないから封印しとかないとね。)

フレデリックは再びお面を右眼だけ隠すと、新たにできた道へと進んで行く。

そして進んだ先には、かなり開けた場所に2人の少年の姿が立っていた。

フレデリックは2人に挨拶を始めた。


「久しぶりですね、カルガロス様。わざわざお疲れ様です。そしてマーリン。僕は君のことが凄く嫌いだけど、今回の件に関しては寧ろ感謝してるんだよ。でもお礼は言わないよ。だって君が勝手にやり始めたことだし。」


フレデリックがニコニコ笑っていると、マーリンは「相変わらず性格悪いよね。まあ、今回の実験は失敗に終わりそうだし。僕はこの辺で立ち去る事にするよ。」と言うが、フレデリックは立ち去ろうとしているマーリンを逃がさない様に亡霊たちを召喚すると、そのままマーリンの動きを封じた。

フレデリックはマーリンの方へ近づき「まだ話は終わってないんだけど、勝手に帰ろうとするのやめてくれる?」と冷たい視線を送ると、マーリンはクスッと笑った。


「もしかして僕の弟子に血と体液を飲ませた事に怒ってるの?それとも彼女の優しい性格を利用して、裏切って心を踏み躙った事に怒ってるの?」


ニヤニヤ笑うマーリンにフレデリックは感情のない眼差しで「どっちもだ。」と答えると、そのまま黒炎の能力スキルでマーリンの身体を焼き払った。

だがマーリンの身体は泥状になりながら最後に「本当はもっとお話ししたかったけど、また今度にするよ。それじゃあ、またね。」と言い残すと、身体は完全に泥とかし、その場からマーリンの気配も消えた。


完全に消え去ったマーリンを見送ると、フレデリックはもう1人の少年の姿をした男に詫びを入れた。

「カルガロス様、邪魔してすみません。本当は挨拶だけのつもりだったんだけど、つい手が出てしまいました。」と言いながら謝ると、カルガロスは落ち着いた様子で「別にアイツを殺すのが目的じゃないわけだし、気にしなくていいよ。それよりもお前がここにいるのは珍しいな。ケイトに頼まれて来たわけじゃないだろ。」と訊かれるとフレデリックはニコッと笑いながら「ちょっと色々と進展があってね。そもそも、この件については参加するつもりだったんですよ。」と含みのある言い方をした。


「参加ね……こんな回りくどい事しなくても、お前の強さなら簡単に終わらせるだろ。めんどくさい奴だな。」


カルガロスが少し呆れながら言うと、フレデリックは不敵な笑みを浮かべていた。

「確かに僕が倒せば一瞬で終わる話だけど、それじゃあ味のないカレーと同じでしょう?ならスパイスを足してあげないと美味しくはならない。そうだね、一手間加えるとしたら、誰か死ぬとかしないと、スパイシーな味わいにはならないでしょ。だから僕はあえて見殺しという選択を選んでいるんだよ。そもそも誰が死のうと僕には関係のない話だからね。」と笑いながら言うフレデリックの目は笑ってはいなかった。


「その思考回路、ケイトと全く同じだな。どうしてお前が気に入られているか、少しわかる気がする。だが一つだけ忠告しておく、あの男をあまり過信しすぎるな。アイツは自分の娯楽のためなら何でも利用するような奴だ。十分に気をつけろよ。」


カルガロスが忠告をすると、フレデリックは「その事に関しては心配いりませんよ。僕も自分のためだけに動いているわけですし。それにミズハという女神も気づき始めると思いますよ。この世界の転生者あるいは転移者以外の部外者がマーリンたちだけじゃないという事に。だから僕からも忠告しておきます。カルガロス様と契約なされた稀崎芽依きざき めいさん、彼女を大切に思うのなら、この世界にはもう来させない方が身のためですよ。じゃなきゃ心が壊れてしまいます。」と忠告をした。

カルガロスは別世界のゲートを開くと「それを決めるのは俺じゃない。どうするかは芽衣自身に決めさせる。」と言い残すと、そのままゲートの中に入って行き。別世界へと移動した。


1人残されたフレデリックは独り言のように「死神は時に残酷な選択を選ばせるんだね。まあ、僕には関係のない話だけど。」というと来た道を戻るのであった。




****************




二手に別れた後。

義経は数時間の眠りからようやく目が覚めると、目の前には見知らぬおっさんの顔がニコニコ笑いながら「ようやく目が覚めたでござるか。」と話しかけられ、義経は顔を真っ青にしながら「師匠が気持ち悪いおっさんに成り下がっている……ヤバイ、俺疲れているのかな?

いや、寧ろここは地獄なのか?」と混乱し始めた。


混乱している義経に凪亮は今までの状況を説明しようとしたが、フレデリックの召喚したデュラハンのリークが紙とペンを用意し、紙を義経に見せると、義経は頷きながら「なるほど。師匠とは別行動で、君は俺の事を見守っててくれたんだな。ありがとう。にしても字が思いのほか可愛いのと師匠とは違って謙虚なんだな。」と頷いていた。


「あの、我も一応頑張ったなりよ!」


急に顔を出す凪亮に、少しうざそうな顔をすると「いや、俺おっさんのこと何も知らないし。そもそも誰だよ。」と訊くと凪亮は少し悲しそうに「我はまだ14歳でござるよ!この顔のせいで40代と間違われるけど。もう慣れたなり、慣れたくないけど……。」と少し落ち込んでいる様子の凪亮。


「あー……なんかごめん。」


義経は一応謝罪を済ますと、凪亮からも今までの経緯を聞き。

仲間の安否が心配になった義経は立ち上がると「いつまでもここで油を売っているわけにはいかない。桃たちを助けに行くぞ。」と言うと、寧々たちと合流し、仲間を助けに向かうのであった。


歩く事数分、義経は寧々の隣を歩きながら助けに行けなかった事を謝っていた。

「俺たちが留守の間、助けに行けなくてごめん。もっと早く切り上げていたら状況は変わっていたのかもしれないわけだし。」と罰の悪そうな顔を見せると寧々は首を横に振った。


「いえ、私こそ助けられてばかりで何もできなかったんです。そのせいで周さんや他の皆さんを……。」


言葉を詰まらす寧々に義経はニッと笑うと「何も心配いらねえよ。だって俺は最強のヒーローな訳だし、誰1人として死なせない。だから星宮、お前は黙って俺に守られておけ。」とカッコつけると、最後尾を歩いていた凪亮が「ヒューヒュー、義経殿。カッコイイなりなー!」と茶化し始めたので義経は凪亮に裏拳を2回喰らわせた。

そして寧々はというと、義経の言われた言葉にドキッと少しときめくのであった。



ーーーー地下87層。


氷点下5度を上回る寒さの中。

腕を負傷した桃太郎の姿があった。

桃太郎は腕を押さえながら身を潜めていると、遠くから足音がし、どんどんこちらへと近づいてくる気配がした。


(暗殺組織アサシンギルドだったらどうしよう。それに僕の血痕で居場所がバレる可能性もある……大丈夫、落ち着け。倒すことができなくても、相手を怯む事ならできるはず。そしたらその隙に逃げれば何とかなるはず。でも失敗したら……いや、今はそんな事を考えてる暇はない。やるしかないんだ。)


桃太郎は刀を握りしめると、だんだんと近づいてくる相手に先に先手に出た。

バッと勢いよく出ると「うわッ!吃驚したー!でも敵じゃなくて良かったー!」と桃太郎に泣きつきながら近寄って来たのは、水色の髪の毛のエルフ。ことねだった。

桃太郎は地べたに座り込むと、一気に緊張が逸れて「僕も怖かったです。」と気を抜き始めた。


「ちょっと待って!桃くん、怪我してるじゃん!痛そう……あ、俺の家の家系さ。治癒魔法と結界を張ることができるんだけど、今その傷治すね!」


ことねはそう言うと、桃太郎の腕の傷を治癒し始めた。

ことねの治癒魔法のおかげで傷口が塞がり、桃太郎はことねにお礼を言うと、少し顔色の悪いことねを見て桃太郎は心配そうに「顔色悪いみたいですけど、大丈夫ですか?」と訊いた。

ことねは無理して笑顔を作ると「大丈夫、治癒魔法使うといつも貧血気味になるくらいだから、まだマシなほうだよ。これが結界魔法ならマーライオン並みの嘔吐物が見れるんだけど、見る?」とふざけたフリをすると桃太郎は真顔で、結構です。と断った。


それから2人は奥深くに進むと、何故か大きな難破船を発見し。

周りには敵も魔物の気配もなく、船の中へと入って行く。

すると床下に続く階段があり、そこを降りて行くと、そこだけが異様に綺麗な部屋が存在していた。

桃太郎とことねは合図をとると、扉を勢いよく開け放った。

そしてそこにはことねの仲間。ビスが縄に縛られながら拘束されていたのであった。

2人は急いでビスを助けると、今までの状況をビスに説明した。


「それよりもビス!怪我はないか?痛いところがあったら俺に任せろ!」


「ありがとう、でも大丈夫だよ。」


怪我がない事を知り安堵することねは、何故無事でいられたのか、何故他の敵や魔物がいないのかを訊くと、ビスは不思議そうに「それが僕も今生きていることが不思議なんだよ。だってことね達が来る数時間前にガスマスクを付けた少年が殺したというよりも消したと言った方がいいのかな。それで暗殺組織アサシンギルドの幹部と魔物を次々と消していき。僕も殺されるかと思ったら少年は、ここにはアイツは居ないか。と言って僕を無視してどっか行っちゃったんだよね。それで何とか生き延びれたというわけ。」と説明をすると、ことねは「まあ、生きてるんだから別に細かい事はいいだろ。」と話すと、ビスもそうだね。と返事を返した。


「それで、これからどうするの?」


ビスがそう言うと、桃太郎は「僕は危険を承知に周さんたちを助けに行きます。それに僕は綾燕の事を許せないんです。これ以上好き勝手にさせるわけにはいかないんです!」と言うと、ビスも「そうだね。僕は君たちにも借りがあるから足手まといにならい程度に協力するよ。」と言った。

ことねは不安そうに「え、戦うの?あんな化け物と無理だよ……。」と弱音を吐くと、桃太郎が「無理強いはしません。2人は安全な場所にいてください。」と強制させないで1人で行こうとすると、ビスは桃太郎の後を追いながら「1人よりも2人って言うでしょ。ことねは嫌なら無理に来なくても大丈夫だよ。」と言いながら桃太郎の隣を歩いた。

そんな2人の背中を見たことねは泣きながら「2人とも待ってよ!俺を置いていかないでー!」と急いで後を追った。


そして、それぞれが動き始める中。

いよいよ綾燕との決戦が始まりを告げるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る