第6話 強引だけど確実な作戦

「はい?」


吉丘は何を言っているんだとでもいうような顔をしている。


「おっぱいお兄さんに接近して仲良くなろう。」


「それで家に行っていいかと?」


「ああ。」


「とても急だよね。家で仲を深めるの?」


「その方が俺もお兄さんも落ち着いて仲を深めることができる気がするんだ。おっぱいの話も最初からできる。ちゃんと策はある。」


「いきなり家で?そんなうまくいくかなあ。」


「うまくいくかじゃない、うまくいかせるんだ。」


「う、うん。」


そして俺は吉丘に案内されて吉丘家に到着した。


「ただいま〜・・」


「お邪魔します。」


「あ、お兄ちゃん帰ってる。」


吉丘の親御さんは共働きらしいので今この家にいるのは、俺と吉丘とおっぱいお兄さんの三人だけだ。


「お兄ちゃん多分自分の部屋にいるから呼んでくるね。リビングで待ってて。」


「いや、お兄さんの部屋に行かせてもらう。」


「え?!部屋に?!」


「ああ、そうしないとできないことなんだ。」


「どんなことをやるつもりなの。」


明らかに怪しいと言わんばかりの目で見てくるがそんなのは気にしない。


「見ればわかる。早く案内してくれ。」


「はいはいわかったよ〜。」


俺は吉丘に案内されて二階に行く。


「ここだよ。」


「ありがとう。」


俺がお兄さんの部屋のドアをノックすると


「どうぞ〜」


お兄さんの了承を得たので、勢い良くドアを開ける。


「かなこ、どうし、、うわぁあ!胡桃沢?!?!!」


「こんにちは!お兄さん!お邪魔しています!」


「お、おう、、え?!なんで、ここに胡桃沢が?!」


お兄さんはめちゃくちゃ驚いている。


「今日は、とても仲良くさせてもらっているかなこさんの御家に、どうしても行きたいと俺が言ったのをかなこさんが快く受け入れてくれて、是非来て欲しいと御招き頂いたので、参りました!」


「なんだお前たち付き合ってたのか。」


「え?」


おいおい、おっぱいお兄さん、冗談はやめてくれよ。どこをどう解釈したら俺たちが付き合っているということになるんだ?


胡桃沢はなんのことやらな感じだが、吉丘は思った。そうなるだろうなと。


「いちゃつくならかなこの部屋でにしてくれ。今俺は忙しいんだ。」


お兄さんはパソコンを開いていたが見られたくないのか閉じてしまった。


「違いますお兄さん!俺はお兄さんに挨拶しに来たんです!」


吉丘は思った。これ絶対勘違いしたままだと。


「いいよ、別に反対はしないよ。」


「いえ、だからそういうことではなく、家にお邪魔したのでお兄さんに挨拶するのは当然すべきことだと思いまして、ん?あれ?お兄さんこれはなんですか?」


「あ?どれ、、、っそれはっ、、、なんでもない。」


やはり、ここか。


「どうしてここの棚にあるdvdや本、ゲーム類の背だけが内側に向いているんです?」


吉丘は思った。なんて強引なやり方だと。


「それはたまたまだ。」


「これだとタイトルが見えなくて取る時に困らなくないですか?」


「大丈夫だ。・・・あっ、おい!」


俺はその背が内側に向いている本を取り出した。


『いろんなおっぱい揃ってます!いっぱいおっぱい乳娘!!』と書かれたタイトルのギリギリ成人向けではない漫画が出てきた。

もちろん俺はこれを知っている。どれも最高のおっぱいだ。


「そ、それは、、、」


「へぇ。お兄さんこういうのをお読みになるんですね。ん?こちらのdvdは?」


「お、おい!!やめろ!」


『はっぴ〜♡おっぱいがーるず ova 海での水着らいぶ!!』と書かれたタイトルのdvdだ。

出た!!はぴおぱ!!!しかもちゃんとovaも揃えてるのか!さすがすぎるぞおっぱいお兄さん!!


「おっぱいですか、、これ見たことありますよ。」


「え?!」

吉丘はすごく驚いたようだ。


何言っちゃってるの胡桃沢くん?!自分からバラすなんて何を考えて、、


「友達の家に行った時に絶賛されて見せてもらいました。俺はまだ全然詳しくないですけど、かわいい女の子たちがいろんな場所でライブしながらそこで会った様々な人たちと仲を深めていくんですよね。」


まず部屋というのはほぼほぼ趣味全開だ。その部屋に入り込み、隠してあるような私物に目をつける。ここでもう相手にこれは自分のじゃないと言い訳できなくできる。それで何食わぬ顔で好奇心だけがあるように見せて、それを手に取り見る。そして、自分はこの存在を知っているよアピールをすれば完璧だ。これが俺の考えた作戦1。


「、、そうだ。よく知ってるな。そこで仲間になったやつともライブをするんだ。ライブシーンもすごくいい。」


お!食いついたぞ!


「はい。とてもかわいくて迫力があるライブシーンですよね。友達に成人向けゲームもやってみろと言われてやってみたら、いやらしさだけじゃなくゲームだけのイベントストーリーや音楽も結構良くて、全然知らなかった俺でもやっててすごく面白かったです。」


「だよな。おもしろいよな。はぴおぱはゲームから始まったんだぞ。」


「え?!そうだったんですか?!全然わからなかったです!へぇ〜ゲームからなんですね!もしかしてさっきお兄さんがパソコンでやってたのも」


作戦その2、今現在やっていたものを、こちらから何をやっていたかを聞くのではなく、自然な流れでもしかしてこれも??と促し相手にそうそう!と言わせる。

これは、おっぱいお兄さんなら帰ってすぐはぴおぱをやっているだろうと信じられたからこそできたことだ。


「おう!はぴおぱだよ!!」


「そうだったんですね。お兄さんは本当にはぴおぱ??が好きなんですね!そのキャラクターのぽよちゃん??かわいいですよね。ぽよちゃんのおっぱいはなんというか男なら一度は揉みたくなるようなおっぱいですよね。」


おっといけない、どうしてもぽよちゃんのよさを語らずにはいられなかった。まあでもここまできたら


「そうなんだよ!!!ぽよちゃんのおっぱいは包み込んで揉むためにあるような、とてもやわらかそうでふっくらしてるおっぱいなんだよ!」


堕ちた、、


「よかったらお兄さん、もっと詳しくはぴおぱ??のことを教えてください!お兄さんともゲームしてみたいです!」


作戦その3、相手に教えてもらう形でいっしょにおっぱいをする。


「俺はもちろんいいけど。かなこ?いいのか?」


「あーうん、私のことは気にしないで。どうぞ楽しんでください。」


「じゃあやりましょう!お兄さん!はぴおぱ??を!」


「お、おお!やるか!!」


胡桃沢くん、なかなかに白々しい演技だったよ。

吉丘は二人が盛り上がっているのを冷めた目で見ながらドアを閉めた。


2時間後


「吉丘、おい、吉丘」


「ん、ん?胡桃沢くん?」


吉丘は俺とおっぱいお兄さんが盛り上がってる最中にリビングで寝てしまっていたらしい。


「ぅわ〜寝てた、、、どう?結構仲良くなれた?」


吉丘はまだ少し寝ぼけてるのか顔がぽや〜んとしている。


「ああ、充分すぎるくらい仲良くなれたよ。また一緒にゲームをする約束もした。」


「わ〜!そっか!すご〜い、ありがとう胡桃沢くん。」


少し寝ぼけた笑顔でそう言われ、ほんのちょっとだけかわいいなと思ってしまった。


「私、胡桃沢くんが自分の秘密を暴露した時はすごくびっくりしたよ〜!でもまさか友達に置き換えるなんてね。よく考えるよね胡桃沢くん。」


「当たり前だ。何も考えずに暴露するわけないだろう。だが、もうなんでも言える友達になったら、本当のことを言ってもいいかもしれないな。」


「そうだね。」


「じゃあ俺は帰るよ。」


「あ、まって」


吉丘はキッチンの冷蔵庫から何か持ってきた。


「これお礼にあげる。」


鹿汁100%のパックジュースだ。


「胡桃沢くんが降りてくるまで冷やしてたんだよ〜」


「この前も思ったがお前味覚大丈夫か?」


「え?だいじょぶだよ!あー美味しくなさそうって思ったんでしょ。おいしいんだよこれ!」


吉丘は鹿汁100%のパックジュースを俺の顔に押し付けてくる。


「わかったわかった。気持ちだけ受け取っとく。」


吉丘は不満そうだ。


「胡桃沢くんには早かったか〜この美味しさがわかるのは。」


早いも何も一生わからないと思うよ。


「じゃあ、普通のリンゴジュースあげる。」


普通のあったのかよ。


「ああ、これなら美味しさがわかるよ。もらってく。」



玄関の外にて


「お邪魔しました。」


「いえいえ。今日は本当にありがとうね。」


「ああ、いいよ。楽しかったしな。滑り出しは順調だ!仲良くなるのは初めが肝心だからな。これからもっと仲良くなっていっぱいおっぱいの話をしたい!」


「そ、そうだね。いっぱいできるといいね。お兄ちゃんもそう思ってると思う。」


「ああ!だと嬉しい!じゃあまた明日な吉丘。」


「うん、ばいばい。」


そして俺は家に帰って全速力で階段を駆け上がり自室に入り、今日吉丘から受け取った『はっぴ〜♡おっぱいがーるず3【Z】みんなで合宿らいぶ!』をやるのであった。

あ〜〜〜〜無事取り戻せてよかったよほんと。なんかあの時が懐かしく感じるな。よし、やるか。


そして、何日か経った後、俺におっぱいお兄さんのことを相談してくるやつが吉丘以外に現れていろいろとややこしくなるということは、この時の俺はまだ知らない。

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