第4話 街の住人

春夏秋冬

この国には四季がある

季節によって色があり

それぞれに

長所と短所がある

春は花見

夏は陽炎

秋は紅葉

冬は粉雪

季節によって

街も人も

雰囲気を変える

そんな街の動きなど

意に介さず

彼らを街を見ている

彼らに家はなく

自らの城を

街に作り上げ

悠久ともいえる時間を

生きている

彼らは街を行く人々を

常にその目に留めている

人々の喜ぶ姿

涙する姿

何かに怒る姿

酔いつぶれる姿

幸せに包まれてる姿

欲求に忠実な姿

家族の元へ急ぐ姿

愛を探す姿

春を売る姿

彼らはこの街に住み

この街の一部であり

この街の観察者である

春夏秋冬

他人の憐れむ目は

気にせず

春風の運ぶほのかな幸せに身を預け

夏空の太陽に焼かれることを恐れず

秋風の中の落ち葉に身を案じ

冬空の冷淡さに身を置くことに耐える

彼らは誰よりも弱いが

誰よりも強靭で狂人に近い

人通りの多い道の端で

人知れず休むその姿

彼らは何を思い身を街に預けるのか

彼らはこの街に寄生し

何をすするのか

今日も彼らは街に住み

街に生きている

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