第38話 呼び方色々

【pH】

加藤さん「すみません、pHピーエイチ試験紙って予備あります?」

藤沢さん「場所を教えておくね。ついてきて」


藤沢さん「ここの、一番下の引き出しに。はい、pHペーハー試験紙。残り一個になったら、社員さんに頼んで発注してもらっておいてね」

加藤さん「はい。ありがとうございます」


加藤さん「藤沢さんは、ペーハー派なんですね」

藤沢さん「そっちの方が慣れてて、言いやすくて。若い子はピーエイチが主流だよね」


そんな話をしているところに、菊永さんが通りかかります。

菊永さん「ピーエッチじゃないんですか?」



【IPA】

菊永さん「加藤さん、手が空いてたら、ちょっと手伝って欲しいんだけど」

加藤さん「大丈夫ですよ。なんのお手伝いしたらいいですか?」


菊永さん「薬品庫から、IPAアイピーエー取ってきてほしいの。思ってたより、残りが少なくて」

加藤さん「はい、イソプロパノールですね。探してきます」


薬品庫で、試薬瓶を確認する加藤さん。


加藤さん「見つけた」

手に取った薬品のラベルは「2−プロパノール」。



【COOH】

藤沢さん「加藤さん、加藤さん。カルボン酸のCOOHシーオーオーエイチって、何基って呼ぶ?」


加藤さん「カルボキシ基ですけど」

藤沢さん「カルボキシル基じゃなくて?」


加藤さん「カルボニルとヒドロキシでカルボキシじゃないんですか?」


藤沢さん「私の時はね、カルボキシルって習ったんですよ」



【英語が浸食】

藤沢さん「いつの間にか、ドイツ語読みだったのが英語に浸食されてるのって、結構あるよね。pHもだけど」


菊永さん「ずっとカロチンだと思ってたのが、いつの間にかカロテンになっていたり」

加藤さん「高校の家庭科では、カロテンでしたよ」


藤沢さん「加藤さんは、若いから。私なんか、変化に対応していくのが大変」

加藤さん「英語になっていくってことは、ナトリウムがソディウムになったりするんですかね?」


菊永さん「でも、ナトリウムがソディウムだってわかってないと、炭酸ソーダがわからないよね」

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