第32話 価値観は人それぞれ

【高校の友人知恵ちえちゃんの場合】

知恵ちゃん「綾ちゃんは、次々新しい仕事に対応してて、すごいよね」

加藤さん「派遣でふらふらしてるだけだよ。知恵ちゃんはちゃんと正社員やってるだから」


知恵ちゃん「でも、ちゃんと次の仕事見つけて、新しいこと一から覚えて、すごいと思う」

加藤さん「派遣だから正社員より基準が甘いだけだよ。どんな仕事だって、新しいことは覚えていかないといけないし、それが一気に来るだけ」


加藤さん「まあ、人間関係がまた一からというのは、面倒かな」

知恵ちゃん「なるほど」


加藤さん「あと、知ってても喋れないことが増えていく」



【大学の友人中野なかのさんの場合】

中野さん「加藤ちゃんは、ちゃんと理系の仕事してるよね」

加藤さん「派遣だけどね。中野さんはちゃんと正規雇用でしょ」


中野さん「私は文系就職しちゃったから、何のために院まで行ったんだか」

加藤さん「給料は中野さんの方が断然あるよ。私なんて、ボーナスもないし」


加藤さん「仕事内容は、大学とか院でやりたいと思っていたことです。でも給料はこれだけです。転職する? 今のまま?」


中野さん「それは……」

加藤さん「でしょ」



【母の場合】

母「今度の所は、正社員になれるの?」

加藤さん「正社員に求める仕事と、派遣に求める仕事が違って、欲しいのは実際に手を動かす人だから、ないと思う」


母「ボーナスがないのは大きいでしょ」

加藤さん「ずっとないから、ないのが普通になってるし、別に。正社員なら、必ずボーナスがあるわけでもないでしょ」


母「ほら、事務員募集だって」

加藤さん「正社員で事務やるより、派遣で実験やってたいの」


母「せっかく大学出たのに、派遣でフラフラして」

加藤さん「ちゃんと大学出たから、派遣で生活していけてるの」



【加藤さんの場合】

加藤さんなりに、正社員と派遣を考えてみます。

交通費の支給やその他手当があることは、いいなと思います。

一方で、事務的な作業や、会社の行事、会議と大変そうです。


派遣なら、派遣先の部署がなくなるという場合でも、また探せばいいだけですが、正社員ならここに行けといわれたところに行かされます。


正社員は会社に縛られることも多くなりますし、派遣社員ほど気楽にはできません。


色々考えて、結局は「給料次第かな」に落ち着くのです。

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