第5話


再びの沈黙に入って程なくして、ただいま!という声と共に帰ってきた。

そして、リビングに入ってそうそう

「今日の晩御飯はなんでしょうか!」

と元気な声で今日の晩御飯はなにと聞いきた。

「なんでしょうね」

俺は、どこなく、優薫ちゃんと目を合わせた。そしたら

「ハンバーグだよ!」

とこれもまた、さっきの優薫ちゃんの母親に負けないぐらいの声で言った。

「あ!駄目でしょ!優薫!秘密だって言ったでしょ」

「ん?」

優薫ちゃんは、あれそんな約束したっけという顔をしていた。

「もう、優薫たら。しょうがない子ね」

そう言いつつも、顔はとても幸せそうな顔だった。

そこで、ふと疑問に思うのだった。

なんで、こんなにも幸せそうなのに、私たちを養ってもらうからとか言ったのだろうか。

ん?養ってもらう?あ!そうだ!

そこで俺は、この家族を家に上げた理由を思い出した。

「そういえば、何故僕が、貴女方を養わないといけないのか教えてくださいよ。」

「御飯食べてからね」

「それと、そのハンバーグを買ったお金はどこから出したんですか?」

「っさ!御飯に作ろうか」

「僕が最初見たときには、なんにも持っていなかった気がするんですが」

「ご、御飯作ってからね」

「机の上に置いてあったはずの財布がなくなっているんですけど 、知らないですか?」

「いやー、どうだろうね。そんなことよりも」

俺は、そのあと続くであろう言葉よりもさっきに言ってやった。

「今貴方のポケットから出ている財布は、僕のなんですが」

と。核心を突いてやった。もう、言い逃れはできないぞ。

「ああ、これのこと。これ私のだから」

この人は、どこまで、面倒くさいのやら。

「わかりましたよ。それは、貴方のですね。じゃあ、その財布についているストラップのマスコットキャラの名前わかりますよね?」

「え、ええもちろん。えーと、これは、じゅたんくんよね」

なにそのじゅたんくんって、聞いたこないけど。

「そうですか。じゅたんくんですか。なんか興味湧いたので調べてみてもいいですか?」

「っえ!も、も、もちろん」

もの凄く噛んでますよ。

インターネットでじゅたんくんと調べてみやっぱり出てこなかった。

「じゅたんくんなんていなかったですけど」

「っく!私の負けだわ。この財布は貴方のよ」

そういいながら、財布を返してくれた。

そのあとは、ハンバーグを食べ終え、リビングにて。何故僕が小鳥遊家を養うなくてはいけないのかということで議論をしていた。

財布の中から、クーポン券一式がなくなっていたことは、不問にしといた。

「えーと、まず、何故僕のことを知っていたんですか?」

「私は、知っていたわけではないですよ。あの時たまたま話しかけてくれたのが貴方で、持っていた鞄に石川って書いてあったものですからね」

「そうですか。じゃあ、なんで僕が一人暮しだと」

「勘ですね。この人は、絶対に裕福な人の子だと」

「そうですか。では、何故貴方は僕のことを知っていたんですか?」

「ああ、それについては………私よりの六花に聞いてください」

え?なんでここで六花に?それに、六花には、敬語使うなって言われてるし。

どうしよう。

「お母さん。別に私から言うことじゃないよ」

「ええー、そう。そうならいいけど」

ふー、よかった。敬語を使わないとなると、またいろいろとややこしいことになりそうだったからな。

「私は、ある日、六花から勧められたアプリでネット小説をよんでいたんです。そんな時でした。こんなプロフィールを見つけたんです」

そう言ってみせてきた、スマホの画面には、俺が昔小説家を目指していた頃に書いた小説をネットにアップするために使っていたアプリの自分のプロフィールだった。

しかも、実名で、そしてこれからが自分としても、ものすごく驚いたのだが、

「誰かに養ってくれと言われたら、養ってやる!」

と。そんな言葉だった。

「え、じゃあ、この言葉が、僕に私たちを養ってと言った理由ですか?」

「はい」

なんといことだろうか。俺がまだ大学一年生の時に書いた小説のことでこんなことになるなんて。

「っていうことなんで。じゃあ、私は、優薫とお風呂に入ってきますね」

「……はい」

 

 



 


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