禁忌や常識をあっさりと飛び越した上でなんて綺麗な着地

ああ、小説ってこんなことが出来るんだな、すげえ。と思いました。

テーマ自己愛?とか思いながら読んでたら想像を遥かに飛び越していかれてポカンとしました。

小説をロジカルに隅々まで把握しているからこそ出来る根拠のある飛躍、カタパルト射出。
小説を客観的に突き放さなければ書けない、単なる「小説のファン」には絶対に出来ない芸当。
目から鱗が落ちる想いです。

結末としては倒錯してるんだけど、それがまた嘘臭くなくてぴったりハマっててその毒っぽさがまたジワジワと癖になるというか。

そういえばジブリの鈴木さんが、厭世観漂う現代ではテレビやエンタメの題材が日本人→外国人→ファンタジー→動物とどんどん離れていき最終的には石などの無機物に落ち着くはずだと言っていました。

その意味でこの作品の結末は肉欲を離れ無機物として平穏を得るという現代の時代性に応えるラストであるのかも知れないと思いました。

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