幼馴染に宛てた手紙


拝啓、我が幼馴染へ


どこにいるか存じませんが、どうやら僕の場合は森からのスタートでした

そこで、魔もっ……じゃなくて、魔じゅっ……でもない、よく分からんが獣人(あとで知りました)みたいな奴が仲間になりました


さて、現在。

森を出て、その近くの町にて、この手紙を書いています

そうそう、つい最近、魔法の存在を知りました

え、遅い?

ああ、正しくは町に入った時に知ったんだよ

ちなみに町というより、字的には街と言った方が近いです


あ、そろそろ行かないと連れがうるさいので行くことにします


それでは、貴女の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


私のスタート地点は廃墟でした

ふざけないでください

貴方は森で、私は廃墟ですか


それと、その連れは捨てなさい

魔物と仲良くするんじゃあありません

獣人ならどこでも生きられます(多分)


魔法の知識を入れとけと言ったはずなのに、何故、抜け落ちてるんですか?


それでは、貴方の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


そんな理由、僕に聞かないでください


あと、獣人は捨てられませんでした


抜け落ちてはいません

単に忘れていただけです


それでは、貴女の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


でしょうね!

でしょうね!


貴方の性格を考えたら、捨てるなんて出来ませんよね!


それでは、貴方の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


返事が遅れました


可愛い妹(のような子)が出来ました


ものすごく可愛いです


それでは、貴女の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


良かったですね


一人っ子の貴方からすれば、さぞ楽しいだろうに


あ、僻みじゃないですよ?


それでは、貴方の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


返事が遅れました


別に何もないですよ?


ただ……


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拝啓、我が幼馴染へ


どうしたの、らしくない


それに、縁起でもないので、変なところで切らないの


でも、今度は私の返事が遅れるかな








私を、助けて


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拝啓、我が幼馴染へ


今、どこにいるの?

教えてくれないと助けられない


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拝啓、我が幼馴染へ


返事が来ないけど、手紙を書きます


ねぇ、本当にどこにいるの?


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拝啓、我が幼馴染へ


ご心配かけました


何とか生還できました


それでは、貴方の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


心配させないの!


うわーん、生きてて良かったー


それでは、貴女の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染へ


心配してくれてありがとう


あと、素が出てる

気をつけて


あとは……次に回すね


それでは、貴方の幼馴染より   敬具


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拝啓、我が幼馴染みへ










「ユウ!」

「舞……?」


抱きつけば、相手は驚いたようにこちらを見る。


「あ、あの、舞?」

「会いたかった」


相手は再度驚き、呟いた。


「ぼ……私も」






やっと、貴女に会えた


私の大切な幼馴染!


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拝啓、我が幼馴染へ


あれはないわー


せっかく会ったなら、言葉で伝えようよー




「一々、手紙で話すのもどうかと思う」


まあ、確かに。


それでも、会えてよかった。


「でしょ?」



僕から始めて、僕で終わった手紙のやりとり


きっと、良い思い出となっただろう


それでは、貴女の幼馴染より   敬具


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