怯える少女と本音の言の葉②


 待ちに待った朝が来た。


 やっと願いが叶うんだ。


 そう思うと今まで憂鬱だった目覚めも少しは楽しいものになってくる。




 やけに外が騒がしい。


 治安が悪い地域でもないのに飛び交う喧騒。



 その理由を察するのに時間はかからなかった。


「私が本音を言い合える世界になってほしいなんて言ったから……」



 かつて誰かが言っていたことを思い出す。


 嘘をついて建前で人付き合いをするからみんな平和に生きれるんだ。って……。




 試しに外に出てみる。


 自分の願いの愚かさを痛感する。

 その痛みだけで死ぬことができそうなくらいに……。



 走る。



 幸福商店に行かなきゃいけない。





 そう思ったのは本能的な何かだった。





 なのに


「幸福商店が……無い……」



 既に無くなって更地になっていた。




 知りたかった元に戻す方法ももう聞く手段なんてない。




 このままじゃ街は終わりだ。




 そう思った途端足に力が入らなくなった。更地を前に跪く。



 これからどうすればいいのか。




 そんなことは知る由もない。



 人間関係に怯え、本音を知りたかった少女は本音を知った後に本音に後悔することになった……。




怯える少女と本音の言の葉 完

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