ミューオンで地球は酸素だらけになるか

 環境問題が取りざたされるこのところ、特にCO2についての問題であるがこいつが温暖化の犯人とされている。公には。


 ではあるが仮説の領域を出ていないわけで、過去にはすごいCO2濃度が高い時期もあり、それでも生物は生きていた。だからといって、その環境で人間が快適に過ごせる、というわけではないが。


 で、またミューオンの登場である。このような説を唱える人達がいるのである。


 ミューオンは触媒核融合により、元素をほかの元素に変えることができる。で、ミューオンは地表に到達する宇宙線では割合的にかなり多い。


 そこで、CO2にミューオンが捕らえられたとする。すると、窒素と酸素になってしまうわけだ。だから、地球はどんどん冷却化され酸素濃度が増えた、というわけである。


 しかしだ、この説には致命的な弱点がある。


 地球には膨大な量の炭素が海水中、および地層とくに石炭層に含まれている。石炭は植物由来であるのはかなり明白で、疑う余地はないと思う。石炭の量たるや、現時点でさえ今の調子で使い続けても千年分は埋蔵されている。


 その気になって可採地域を探すなら、どんどん発見されるわけだから、その量の何倍か、あるいは何十倍の量が恐らくは地下にある。いまさら石炭鉱を新たに探そうという人も少ないとは思うし、深い場所であれば採算が合わないからやらないだけのハナシ。


 となると、膨大な石炭は過去の光合成によるCO2固定化の結果であると考えるのが自然であるし、わざわざミューオンなんか取り上げなくてもいいのに、と思う。


 で、考えるわけだよ。そういう学者が、予算が欲しくてそういうこと言ってるんじゃないかって。そういうの、多いんでね。


 その一方、CO2由来の温暖化というのもかなり怪しげで、ppmオーダーのCO2で温暖化が起きてるってのも信じがたい。太陽活動の変動、宇宙線の量や水蒸気については無視を決め込んでいるのである。ここ数十年で、暑くなってるのは肌身をもってわかってはいるが、それはどれが原因なのかまだ分かってはいない。


 CO2排出を規制することで、一部企業は新たな商機を得る。学者はその企業との共同研究で資金が得られる。そんなこんなもあって、CO2は商売にはちょうどいいから、仮説にすぎないこの理屈を「原因だ」といって騒いでるだけである。


 電気自動車(EV)も同じ理屈である。EVを動かす電気は現在、原発がほぼ使えないから火力発電が主流である。フランス以外では(北欧も水力資源が豊富なのでこれまた同様)。


 発電所で燃やすのとエンジンで燃やすのと、どっちが効率がいいか、CO2排出が少ないかというと今のところ発電所である。しかし、エンジンの熱効率はすでに旧式の石炭火力とほぼ同等で、いずれは追い越す計画でもって自動車会社は技術開発を進めている。自動車会社が自社のたましいであるエンジン技術を捨て去りたいわけがなく、100%EVなんて積極的に作りたいわけがない。だから、EVの存在意義は原発あってのものなのである。


 だから、やたらとCO2を、だの言いだすやつには警戒するわけである。

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