第3回―経過報告―


 マクロ及び計算式の見直しによる、試行結果についての報告


<前提>

・全83種のカタカナについて、7文字分を無作為に選択・出力したものを1回あたり10000行出力し、それを53回繰り返す。(これを1周期とする)

・1周期の間に出力されたそれぞれの文字列について、検査対象『シェイクスピア』と比較し、最も一致した文字列が多いものを出力する。条件に合う文字列が複数あった場合は、そのうち、最も先頭に出力されたものを展開する。

・本試行では、上記作業を1890周期だけ繰り返すものとする。この試行における合計回数は10億と170万回となる。


<実行結果>

 1890周期で出力された最大の一致文字列については以下の通り。

・3文字一致:1157件(61.22%)

・4文字一致:725件(38.36%)

・5文字一致:8件(0.42%)

 2文字以下、及び6文字以上の一致についてはなし。


 総合計時間:10762.66秒(2時間59分22秒660)

 1周期あたりの平均:5.66秒

 最短周期:5.60秒

 最長周期:6.41秒


 5文字の一致文字列

 01.(153245305行目)

 02.ゼギ(155577787行目) 

 03.ピィ(177441042行目) 

 04.(430745119行目) 

 05.ペ(518063160行目) 

 06.デ(715601780行目) 

 07.ケレ(798508428行目)

 08.コピ(940375649行目)


<総括>

 前回のレポートより、演算回数を10倍にして検討したもの。

 特筆すべき箇所は二つある。

 一つは「実行速度」。前回時点では21.88秒/周期となっていたところが、5.66秒/周期へと変わった。演算速度が約3.86倍となったことで、10億回の演算を3時間で完了させることに成功している。

 もう一つは「文字数一致の精度」。前回では3文字一致が68.25%、4文字一致が31.22%であったところが、おおよそ7%ずつ増減している事が分かる。これは、発音不可の文字列を取り去った効果だろうと推測できる。

 5文字一致については前回の0.53%より下がってはいるが、実施回数が1億回強しかなく、出たものがカウントされた為だろう――実質的には発生確率は増しているはずだ。

 

 しかし、これだけの対策を取っても、6文字の一致が出力されなかったことは事実である。

 不要なパターンが削減されたとは言え、出力される確率は約381億4000万分の1。今回の検証(10億170万回)を以てしても約38分の1(2.6%)にしかならない。演算速度の更なる向上か、パターンの絞り込みは必須と言える。

 以前(「最低条件を決める」の余談)に記載している「モュ」などの実装が難しくて見送りにしていた組み合わせや、「ン」が連続するなどのケースについて、見直しをかけていきたい。


(余談)

 もはや、読者の誰もが気付いているだろうから、ここで申し伝えておく。

 わずか7文字の一致に、これだけの時間と労力を割いている現状から察するに、完全なランダム出力では、小説の作成どころか、T〇itterでつぶやく(140文字)ことすらも出来ないことは明白だろう。宇宙人との対話ごっこをしたいのならば、話は別だが……

 では、どうするか。

 今考えている方法としては、サルに「知恵」を付ける――つまりは正しい文章を書くためのルールを定義し、その通りに出力させるというものがある。本編で記載している『発音出来ない文字列をパターンから取り除く』の延長だ。

 ググル神の啓示では、方法を知りたければ『人工知能』やら『人工無能』で調べると良いと出ている。乱数の限界が見えてきたら縋ってみようと思う。


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無限の猿を作りだせ 脳幹 まこと @ReviveSoul

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