仮面の勇者

嘘つきは嫌いだと言ったけど

そんなの嘘だと気が付いた ごめん

嘘ついても無理しても笑ってる

あんたの笑顔になぐさめられてる いつも


「英雄じゃないんだよ」

秘密を打ち明けるようにうつむいた

そんなこと知ってるよ

でも あんたは勇者だよ


腹が立ってても笑って

悲しいときでさえ笑って

ねえ その笑顔はどこから来るんだって

不思議だし不憫だし あんたに尋ねたんだ


「ピエロになれたらいいかなって

 子供の頃から憧れてたからさ」って

ねえ ケンカして泣かされた僕があの日

ピエロの前で笑ったこと覚えてたのかい



笑ってるあんたが誇らしいよ

歌う声さえ失くしていた 僕を

笑いながら強引に引っ張り出した

同じ位 傷付いた目をしながら だけど


「一緒に来てほしいんだよ」

差し出された手は傷だらけだった

置いて行かれそうで

怖くなって手を取った


こんな笑顔なんて仮面だと

こんな笑顔なんて偽物だと

ねえ あんたはあんたをさげすまないで

仮面だって偽物だって大事にしなよ


本当の笑い方を探してるなら

それがあんたの旅の意味だろ

ねえ 僕のちっぽけな勇者様

僕が馬鹿をやったら笑ってくれるかい



怒りたいんなら中指立てろよ

泣きたいんならそっぽを向けよ

ねえ サインがあれば安心だろ

安心して笑ったままサイン出せるだろ


笑ってるあんたが隠す怒りも

笑ってるあんたが消した涙も

ねえ 僕だけは見てるからさ

仮面の下の心はちゃんと動いてんだ


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