#8
「他にはどんな物をサークルのみんなは伊藤さんに渡してた?」
少しテーブルに肘を乗せ腕組をし身を乗り出して、万治は続けて質問した。
川下は左上に瞳を動かし、ウーンと呟き続けて答える。
「あまり、覚えてないですね。ってか、それなら伊藤に直接聞けば良くないですか?」
眉を潜める川下。その横でウンウンと頷く伊藤。それを見た万治は乗り出していた身を引いて「まぁね」と言ってクスリと笑った。
「でも、あまりって事は川下さんから見ても、ちょっとは印象に残ったプレゼントを渡した人が居るんじゃない?」
その笑顔のまま万治は一息つく様に、コーヒーを啜って尋ねた。
「そうですね。今、伊藤が付けてる部長に貰った黄色のネックレスもそうですが、一学年上の林田って先輩が渡してたフィギュアがかなり凄かったですね。確かアレ、レアとか言ってたよね?」
川下は伊藤の方に顔を向け指さした。
「そうそう、そうなんです! たぶん、オタクなら解ってもらえると思いますが、魔法○女まど○☆○ギカの巴マミver.ぶかぶかメンズYシャツノーブラ×パン一(キャストオフ可)のフィギュアを頂きました! 」
机をバンと叩いて身を乗り出す万治。
「マジでか!? あんなモノを・・・・・・」
「マジです」
真剣な表情の伊藤。
「いやさ。ウチはそのフィギュアの事わからんけど、そんな飛び上がる程の事なのかい?」
溜息交じりにアヤメは万治を眺めると、万治と伊藤は詰め寄るようにアヤメを睨んだ。
「アヤメさんよ。お前は何て無知なんだ・・・・・・。いいか、コレは200体限定のモデルで今やネットオークションに出せば、最低でも30万は下らない代物なんだぞ」
「九栖さんの言う通りです! 今や私の家宝なんです。因みにコレが証拠の写メです」
「うっわッスッゲェ! マジでホンモンじゃんか!! いいなぁ、是非今度、生で拝ませて頂けないでしょうか?」
「はい、機会があれば良いですよ。ただしお触り禁止です」
「モチのロンです」
キャッキャとテンションの高い二人を尻目に加熱式タバコ二本目をセットし大きく息を吐いてアヤメは呟いた。
「もぅ、犯人・・・・・・林田で決定っしょ」
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