#7
万治は揉んで居た手を下ろすとそのまま、コーヒーの入ったカップに手を伸ばして一口啜る。
そして、静にカップを置くと川下の方に視線を向けた。
「川下さんにも質問いい?」
ちょっと眉をひそめ「どうぞ」と、この状況に抵抗感を示したように渋い口調で川下は同意する。
「んじゃ、大学のサークルの事なんだけど、雰囲気は良いの?」
万治は気にも留めないかの様にサラッと流れのまま続けた。
「そうですね、仲は良いと思います。喧嘩も無いし、飲み会だって基本的にみんな参加してます。まぁ人数も少ないですしね。互いの誕生日とかやるくらいには仲良いですよ」
「へぇ~そうなんだ。今年も誰かの誕生日祝ったの?」
「サークルの部長と伊藤と私の三人です。後は再来週に先輩の誕生日会を予定してます」
「それ、みんな参加するの?」
「私と伊藤は出る予定です。伊藤のバイト先で今まではやってましたよ。良い居酒屋で店長さんがノリで誕生日限定メニューとか出してくれるんで、たぶん通例になると思います」
「いいね、それ。そう言う店はまた行きたくなるの分かるよ。店長からのささやかなプレゼントとか何か雰囲気良くなるもんね」
「そうなんですよ! その後、各自で持ち寄ったプレゼントとかあげたりして何だかんだ盛り上がりますね」
少し緊張もほぐれたのか声にトーンを乗せて返す川下。
「へぇ~」と同調をする万治はテンションをそのままで、続けて伊藤にこう質問した。
「伊藤さんは川下さんに何プレゼントして貰ったの?」
「フィギュアです。ゲームセンターで頑張って取ってくれたんだよね?」
伊藤は嬉しそうに川下に微笑んで見せた。それに川下は少し照れくさそうに「そうなんです」と答えて伊藤に微笑を返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます