ダイエット目的もあり。

 お茶の好みなんて、人それぞれだと思うの。


 コクのある味わい、華やかな味わい、しっかりした香り、柔らかな香り。苦いのが好き、苦くないのが好き。

 どれが好きかとか、どのメーカーのお茶が好きかとか、それは人によって違う。誰か一人が、ここは美味い、ここはまずいとか、決めてみんなに紹介したって、ほぼ共感は得られない。もし、共感されたとしたら、それは批判したメーカーが嫌いな人からの同感。


 批判ばかりする人の中からは、何も生まれないと思う。批評も批判もそうだけど、やっている人が、批判している事柄を上手くできたという話を聞かない。


 そういう意味で、文学や映画の批評をする人と、紅茶の批評家は似ている気がする。どちらも、マニアックなものを手に取れば玄人だと思い込んでいるし、メジャーなタイトルには手を出さない。それに、自分の価値観や意見が一番正しいと思っている。私はそれが嫌で、紅茶を飲まなくなった。わずかに手に取る紅茶は、自分と本当に合うと思ったものだけ。数年前から、私の好みは烏龍茶や緑茶、ハーブティーやプーアルやルイボスやそば茶やら麦茶やら抹茶やら玄米茶やら、独自ブレンドのカフェイン入ってないやつあたりにシフトしている。日本紅茶協会は大嫌い。


 最近ルイボスや麦茶の味の違いが分かってきた。メーカーによっても違うし、ラベルによっても違う。いろんなもの混ぜたブレンドのカフェインなしのお茶も、なんか二つくらいのメーカーで飲み比べるとその違いに唖然とする。最近、あるファミレスのドリンクバーにそういうお茶があったので飲んだら、バカはまりした。ほかのファミレスにあるプーアルは積極的に飲む。なんつったってコレステロール値ちょい高い。


 お茶の本場はイギリスって言われると違和感あるし、希少種のダージリンだけをありがたがるのも嫌だ。ずっと前、あるファミレスで、ダージリンのファーストフラッシュを頼んだら、クソみそに苦くて真っ黒なのが出てきた。待て、これは奴らの罠かもしれない。


 あるサイトでは、大手のお茶屋さんを批判してマズイマズイ言いながら、これが美味いと、特定のメーカーの特定のお茶を載せていた。紅茶の好みなんて人それぞれだし、これがうまくてこれがまずいなんて、一個人が人の感性まで決めつけていいものじゃない。さらに、どこかを非難することで自分が推すメーカーのものの価値が上がるわけではない。批判している時点でそれは素人。


 たぶん、そのサイトは紅茶の宣伝がしたいか、もしくは、自分の舌だけが正しいと思っているひとがやっているか。


 とりあえず、その文を見る限り、その人はお茶イコール紅茶という、狭い部分でしかお茶の世界を見ていない。紅茶ありきのお茶世界。


 日本人は日本茶を飲め、とか、そんな野暮ったいことは言わないけどさ。


 日本人の紅茶好きのなかには、英国かぶれが多い気がするんだよ。少なくとも紅茶は英国だけのものではないし、国によって楽しみ方も違う。生産地も、元英国の植民地であったインド以外にもたくさんある。てか英国って英国の入れ方で、英国の作法で、英国に広まっている品種や茶園のものしか認めないのなら、それは視野が狭すぎるし、何一つ理解しようとしていない。


 そういった人から見れば、私みたいなのを見るだけで虫唾が走るんじゃないかな。急須で紅茶入れるし。


 烏龍茶とかさ、台湾と中国では全く違うでしょ。製法も茶葉も作法も。日本茶にも入れ方はいく通りもあるよね。ほうじ茶は熱湯でもいいけど、玉露はすごくお湯を冷まして入れる。それに当てはまらないほうじ茶や玉露もあるかもしれない。


 他もそうだけど、お茶だって奥が深い。それを、ああだこうだ理屈を並べて、自分の基準だけで美味いまずいを決めつけて押し付ける。


 丸いポットでジャンピングさせなければならないとか、お湯は高い位置から勢いよく注ぐとか、そんな決まりに縛られて入れたお茶が美味しいとは思えない。


 少なくとも、高い位置から勢いよく、丸いポットにお湯を注いだら、それこそお湯が辺りに飛び散って火傷すると思うんだけど。


 以前、私は紅茶が好きで、やはり作法通りにお茶を入れ、作法に従って飲んでいた。


 だからこそわかる。これは退屈で、つまらなくて、何ひとつ学べない。


 紅茶につきまとう、ルールや作法という呪い。ある意味どんなホラー映画よりも怖い。


 お茶をもっと自由に楽しむために、私は今もいろんなお茶をいろんな飲み方で飲んでいる。


 ちなみに、牛乳の、あの独特の匂いがダメなので、ミルクティーは飲みません。でも、私は豆乳で代用しているわという人がいたので、今度やってみようと思う。ほら、例の喫茶店なんて、ミルクティーにつぶあん入れちゃってるよ!(こないだそれを、ミルク抜きで緑茶でやりました。美味かった!)


 お茶の飲み方だって、これは邪道とか決めつけちゃったら、おいしい飲み方一生知らないまま過ごすんじゃないかなあ。


 補足。お茶を淹れるという書き方もありますが、この漢字を当てると、なんか主張が強すぎるように感じるため、あえて当てていません。ご了承ください。

 

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