第2話「夢?」山の上のマンション

 昔から忘れた頃に見ることがあります。

 このマンションはいつからあるのか、どうなのか覚えていないのですが、駐車場には車一台もなく、雲に覆われた灰色の空が印象でした。


 このマンションに行くには使われていない坂道のほかに、今でも使われている道のふたつがあり、その坂道を上った先にあります。


 そのマンションは、近づくだけでも鳥肌がたち、恐ろしく近づきたくないと訴えるほど心臓が高鳴りるほど場所です。


 そのマンションには女性の幽霊が有名です。


 昔、結婚を控えた女性が旦那さんを待っていた。


 けど、悲劇が起きた。

 私自身も見たのですが、風呂場でバラバラの遺体で見つかったのです。大家さんの通報で警察や現場に駆け付ける人でにぎわう中、その女性はずっと恨んでいました。


 女性は私を殺そうとしてきたのです。私は殺されまいと必死に説得し、女性がなぜ怒っているのか聞いたところ、一部始終を見せてくれました。


 女性は結婚を控えており、旦那さんと待ち合わせする約束をしていたそうです。女性はその日、玄関のチャイムがなり、旦那さんが来たと思い扉を開けたところ、真っ暗闇になったという。


 気がつけば、周りはすっかり日が暮れており、すぐ後ろにはバラバラになった自分の体が合ったそうだ。


 幸せな時間、日々、結婚を奪った犯人が許せないと女性は言っていました。私自身は助かりたい一心で、その犯人を見つけようと約束しました。


 けれど、世界は広い。

 顔写真もなければ名前も知らない。そんな犯人を捜すのは骨が折れるほど難しいものでした。


 わたしは、いまでもその場に近づくのは怖いです。

 約束守れなかったこともあれば、その女性をどうしてやりたいのかわからないからです。


 今でも夢に出ますよ。

 決してその場所に近づかないようにと坂道には昇らず別の道で通り過ぎています。

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