第21話

「頂きま〜す」

眼を瞑って

『パクッ!』

真上を向いて

『ゴックン!』



「蜜ちゃん、偉い豪快な食べ方だねー。喉に《つか》痞えない?」


お使いで来た薬問屋さんで、出して貰った『ひ○このお菓子』を食べた私を見た薬問屋さんのご主人の言葉だ。


すると、テーブルに置いた買い物籠さんからフォログラムの光が床に出た。

『蜜ちゃんは、ひよこさんの形のお菓子を齧るのが可哀想だから目をつぶって丸呑みしてるのよね。同じ理由で掌サイズの鎌倉の鳩サ○レーを丸飲みした時はビックリしたけど・・・』


「ウッ!あのデカい鳩○ブレーを丸飲み、み、見てみたい気もするが・・・。かなりヤバそうな構図だな。蜜ちゃんは、優しさからやってるんだからなぁ・・・」

腕を組んでウンウン頷いている薬問屋さん。


一緒に出して貰ったお茶も『カポッ』と咥えて上を向いてゴックンとして、(普通の犬は、舌で飲む?)買い物籠さんを咥えて薬問屋のご主人に『ご馳走様』とお辞儀をして店を出る。


そういえば、ひ○このお菓子の『家族セット』と言うのを見た事があるけれども、お兄さんお姉さんのひよこが居るのは、良いけれどもお父さんお母さんも、ひ○こ?なのは?どうなってるのかしら?普通に考えると雄鶏と雌鶏よね??


等と考えていたら道路を渡る鴨の親子の列が目に入る。


あっ!一匹だけ逸れた小鴨が郵便屋さんの郵政カブに轢かれそうに!!


買物籠を置いた私は、道路に飛び出し小鴨を

『パク』っと口に入れ道路の反対側へ。

そしていつもの癖で上を向いて

『ゴックン』

「‼︎」


うわー!小鴨さんを飲み込んじゃったー!

どうしよう!


すると直ぐ近くの民家の壁に買物籠さんからのメッセージが写し出された。


『蜜ちゃん、すぐに近くの暗闇に潜って。

そしてすぐに私の近くの暗闇から出てきて、出て来る時に「小鴨さんは、その場所に置いて置く」と思いながら暗闇に潜って見て』


メッセージを読んだ私は、直ぐに近くの暗闇に飛び込んだ。


買物籠さんの近くに現れた私は、道路の反対側を見る。


元気な小鴨さんの姿が見えた。


「あー、良かったあ〜〜」


すると買物籠さんのメッセージが私の足元に

『蜜ちゃん、丸呑みする癖が役に立ったわね、齧ってたら大変な事になってたわよ(笑)』




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甲斐犬黒蜜のお使い〜もう一つの物語 牛耳 @usimimi

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