第5話 日本語?

 天上を眺めていた。

 机の上にはもらった時から折り目の一つも確認できない主題の山があるから…認めたくない現実から目を背けたのである。

「こんな本!!」

 バシッとオカルティックな姉の部屋へ向けて叩きつける。

 バサッと落ちて開いたページ、『やってみよう、おまかせ召喚』

(おまかせってなんだよ…)

 横になったまま、本を読む。

 無意識にベッドの上に指で魔方陣を描いているサトシ。

(助けて欲しいことを念じながら、呪文を唱える…)

「バー・バーキ・ヨハラ・ズ・ンダ・モ・チカフェ・アブラ・ア・ゲ」

(バーバー清原?ずんだもちカフェ?あぶらあげ?)

「もうダメだー!!」

 サトシが叫んだ。

 天を仰いだその時、叫び声に驚いたオカルティックな姉が部屋に入ってきた。

「強い力を感じるわ」

(色んな意味で、もうダメだー)

「ソコ!!」

 ベッドの下に抱いていた黒猫のぬいぐるみ(オカルティックなデザイン)を投げつける。

 ボフンッという軽い破裂音と巻き上がるホコリ。

「掃除くらいしなさいサトシ」

「爆発したけど…掃除とかの問題じゃないんじゃ…」


「なによー」

 ベッドの下から声がする。

 女の声。

「サトシ、こっちへ来て」

 アワワワッと姉の方へゴキブリのように移動するサトシ。

「姿を見せなさい悪しき者」

「誰が悪しき者よ!! …ん?日本語?」


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