1日目 試合後

「うぅぅ……。」

 試合を終えたジャックは、どういう訳か青ざめていた。胸を押さえ、険しい顔で彼は3人のもとに戻る。


「どうしたのよ?」

 メグが心配そうに尋ねる。ジャックはしばらく喋れずにいたが、やっとの事で声を出した。

「なんか……、すごい……なんか。メチャクチャ恨まれてる気がする。」

「あぁ、多分正解ね。」

 メグもジャックも、原因は分かりきっていた。女の恨みは凄まじいものだ。


 ジャックは椅子に座り込む。

「お疲れっす、大将〜!!いやー、ヤバいっすね……あ、いや。すいやせん……。」

 ユキナの呪いにやられているジャックの様子を見て、流石のカノヴァもたじろいだ。


「よぉ!飲むか?」

 ダリオが酒を差し出す。

「ですから、飲んではいけないのだと散々申しているでしょう!貴国とは文化が違うのですから!」

 ジャックは少し苛立っていた。



「まぁ、お疲れ様。明日また試合なんでしょ?」

「あぁ。」

 ジャックは対戦表を見せる。3人の表情が強ばった。

「……ムリだろ?」

「頑張って!」

「ファイトっす〜!!」

「お前ならやれる!」

 あいも変わらずだった。


「というより、冷静に考えてみれば俺が出ること自体おかしいだろ。アンデッドの中で1番弱いぞ、俺。」

 ジャックは机を叩いて物申す。メグはたしなめるように言った。

「だって、あなた主人公だか──。」

「それなし!ダメ!!」


「でも、ホーリー・カジェルディの要素持ってんのは、大将だけじゃないすか。その辺有利っすよ!」

 ジャックはランタンをブラブラと揺らす。

「こんなものは残りカスみたいなものだ。それにミスティ・カジェルディだって限界が見つかっていないのだから、フリッツとかの方が強いだろうに。」

「“ハ?オレたちが大会に?コケにされてもらっちゃあ困るぜ。なぁ、クララ?” “全クヨネ。”って言われるに決まってるじゃない。」

 メグが人形を持つ動作をして、声を真似る。

「確かに……。」



「とにかく頑張ってくださいよ〜!!何とかなるっしょ?その……デカい人。」

 カノヴァは自信なさげに励まそうとした。流石にジャックも応えねばなるまい。


「やるだけやるよ。でも頼むから、メチャクチャでかい声でやじ飛ばすのやめてくれ。無視してたけど、やっぱ気が散る。」



 大丈夫だろうか……?

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