やはり最年長

 ジャックがウィルと別れて戻ると、そこにはカノヴァの姿しかなかった。

「おい。メグと陛下はどうした?」

「お嬢はその辺ブラブラ。陛下はやっぱり酒っす。」

カノヴァはいつになくテンションが低い。

「またか!?」

ジャックは呆れ返った。

「スイヤセン、大将……。自分だけじゃ、2人も止められないっす。」

ジャックは今日何度目であろうか、ため息をついた。

「分かった。じゃあ、陛下をお探ししろ。俺はメグだ。」

「合点〜!!」


 ボウガンを背負ったブロンドの少女を見つけるのに、そう苦労はしなかった。周りの人が人なので、いつもよりはかは控えめに見えるが、目立つ。

「おい!」

ジャックが苛立ち気味で声をかける。メグは気になった人の後をそろそろとつけていた。

「あ、ジャック。どしたの?」

「どしたの?じゃないだろ。1人でふらつくなと何度言ったら分かるんだ!」

メグは少し俯いて、黙ってしまった。

「さっきここにウィルが来た。ひょっとすると他の奴も来るかもしれない。」

「え……。」

メグの表情が揺らぐ。ジャックは呆れて──というよりもホッとして、やはりため息をつく。

「まぁ、何ともなくてよかった……。戻るぞ。頼むから、俺の仕事がお前の護衛だってのは、忘れないでくれ。」

「うん。ごめんなさい。」

メグは少し笑顔になった。


 そして──。


「陛下!!」

またもジャックの怒声が響く。ダリオは気圧されていた。


「昼間の飲酒と勝手な行動はやめるようにと、あれ程申し上げたでしょう!何故いい大人の貴方までもが、カノヴァ1人の言う事も聞けないのです!?1人で行動する時は私にに申し出るよう言いましたが、今後も同様です!私も集団から外れません!よろしいですね!?」


長々とジャックの説教が続く。カノヴァは叱られたメグを、背中をさすって慰めた。


「俺が目を離したのが間違いだった。そもそも何故こういう時に1番まともなのがカノヴァなんだ……。」

ジャックは頭を押さえる。

「大将!そりゃ、ちょっと心外っすよ!自分はいつもまともでしょうが!!」

カノヴァが抗議するが、ジャックは全く聞き入れない。

「まぁ、悪かったから……。ただ、今回はいいだろ?見た事ない酒があったんだよ。」

ジャックは表情を険しくしたままだったが、

「……今回だけですよ。私も気になるので一緒に行きます。」

と、承諾した。

「飲むのか?」

「まさか。」


「じゃ、お嬢のブラ散歩には自分がついて行くっす。2人なら問題ないっすよね〜!」


カノヴァはメグの肩に手を置く。が、即座にメグに払われた。


「遠くへは行くなよ。俺達もすぐ戻る。」

「え、そうなの!?」

「文句は受け付けませんよ!」


 4人はそれぞれの目的地へ向かった。

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