最終話? 最後の、茶番(閲覧注意)


※どうでもいい茶番です、人によっては気分を害することもあります。

 アニメの話が出て来ますが「実在するアニメとよく似たアニメ」とお考え下さい。

 内容は「もし優勝したら~」というものなのでお好みでどうぞ。



 大会会場、とある個室を不正に貸し切っている猫の着ぐるみが一体。ちょんまげを生やしたその猫はアニメを見ながら酒を飲んでいる、中身はどうせ木林だ。

 開催まで時間があるようなので暇つぶしに持ち込んだディスクの山。

 異世界に来てまでアニメ鑑賞、変人にも程があるというものだ。


「…何でこのアニメ流行らなかったのかな」


 木林の見ていたのは、昭和時代のとある漫画原作を全く新しい形の続編として世に送り出したマイナーアニメだった。かなり凝った作りで絵も現代風だが完全OVA、肝心の原作ファンが定年退職して年金貰っている年齢層というハンデ、更に宣伝不足ということも祟り、たった数話で打ち切りとなってしまったのだった。

 木林もこのアニメの原作は知らない。だが熱き男達や少年達の生き様を描いた作品を見て心に響くものがあった。登場人物に感情移入してしまい、目頭が熱くなるどころか気付けばイメージソングを口ずさんでいるという有様だ。


 だが世の中はこのアニメを選ばなかった。メディアは同じ監督のロボットアニメや怪獣映画ばかりこぞって取り上げ、今ではそれらも下火だというから残酷な話だ。

 理不尽な世間に対して憤慨することもあった木林、しかしその度に自分をいさめた。誰にだって好みはある、仕方の無い事だ。自分だって普段は余りアニメを見ないし、切っ掛けが無かったらこの作品自体を知ることすら無かっただろう。


(優勝賞品はどんな願いもかなえる物だったっけ……そうだ! 大会に優勝して私が会社を買い取れば良いのだ。倒産覚悟でこのアニメを完結させよう)


 先程はあさぎの前だったので、つい格好をつけて「優勝賞品は彼のものだ」などとのたまったが、よく考えれば勿体ない話だ。彼にはきなこ棒でも与えれば十分だろう。


「つーかこんなオッサンにこんな美人の奥さんとかありえねーし! 副艦長に至っては××××かよ!」


 突然映像を消し、本当にファンなのかと疑う様な言葉を吐く狂人。

 目の前に閻魔大王がいれば、間違いなく地獄行きを言い渡される根性であった。


ピンポンパンポーン


──間もなく、本大会のトーナメントを発表します。参加者及び関係者の方は…。


 遂に来た!

 待っていたとばかりに部屋を飛び出す木林。


 部屋を出ると、珍妙な着ぐるみの走る様を見て指を差して笑う子供や、思わず飲んでいた物を吹き出す大人までいた。

 木林は構わず地下施設へのエレベーターに乗り込む。



「行くぞ化け物、ショウタイムだ! お前の力を大衆に見せつけてやれ!」


グウゥゥゥゥ……


ズシン… ズシン…


 波乱の幕が今、切って落とされたのである。



── to be continued …

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