第19話 山

どこだったか忘れたが

学校の遠足でどこかの山に行ったとき

私たちのグループは最後の方で

マイペースで下山してた

それは一本道だったから

迷う心配もなくのんびり歩いていた


しゃべりながらだらだらと

降りていた私たち

近くに見えるのは

少しあとから降りてくる

帽子をかぶった男の人が一人だけ

時おり木の間から

見え隠れする姿を

見るともなくみていた

ずっと同じ間隔で後ろにいるので

距離は縮まないと思ってた


しばらくするとやや開けた場所に出た

誰かがちょっと休もうと言いだした

すでに疲れてた私たちは

その言葉に飛びついた

ふぅ~足を止めると風が心地よかった


しばらくして

何かが変だという気がした

もうとっくに追い抜かれても

いいぐらいの時間を過ごしているのに

後ろを歩いていた男の人が

いまだに現れる気配がない

あんなに近くを歩いていたのに

それにほかに行ける道もない


初めはおもしろ半分に騒いでいた

もうちょっと待ってみようか?とか

みんなで伸び上がって後ろを見たり

少し戻ってみたりもしたけど

やっぱり誰もいない!!


おか、おかしーねー、、

と口々に言い出し怖くなって来た頃

一人の子が突然

い、行こう!!と言い出し

小走りに下山し始めた

みんなあわてて後を追った

走らんばかりの勢いで降りていった

それだけの話である


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