第8話 夢に泣いた朝

その朝

私は泣きながら飛び起きた

ショックで感情が高ぶり

悲しくて辛くて

しばらくは

泣きやむことができなかった


目が覚める直前まで その場所に

確かにいたと思うぐらいリアルだった

本当に今のが夢だったのか

それとも

今、目覚めてる私の方が夢なのか

確信がもてず私はとまどった


その夢の中で

私は自分にとって

かけがえのない人を失っていた

自分の腕の中で

その命が消えていくのを感じながら

抱きしめることしかできなかった

夢の中の私は神に祈った

そしてついにはその誰かを

失ったことを悟り泣き叫んだ

その悲しみの絶頂で

泣きながら目が覚めたのだ


あれは誰だったのだろう?

失ったのは自分の身内らしかった

時代も時もはっきりと分からない

どこかよその国で

時代もややさかのぼっていた

ような気がした


前世の記憶みたいなものなのか

それとも誰かの意識なのか

あるいはただの夢なのか、、

その時の周囲の濃厚な雰囲気さえ

くっきりと思い出すことができた


ぼんやりと遊牧民のような姿や

洞窟の中のような薄暗い壁の様子

でもそれ以上は思い出せなかった


たとえただの夢だったとしても

今世界のどこかに

あんなに辛い思いをしている人が

一人でもいるのかもしれないと思うと

どうにもやるせないおもいがして

私はもう一度泣いた




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