第5話 醒めない夢 

5.☑


~深山康文と果歩の結婚生活 ② ~



 夫が我が家から居なくなると父親までもが母と連れ立って

娘の顔を見に来るようになった。



 ふっふ~ん、可愛く思えなかった娘でも、孫は違うんだぁ~

なんて斜めから父親のその姿を呆れ顔で見ていた。



 そんな日々を過ごす中……

娘が3ヶ月めを迎え100日のお食い初めも終えた頃

私は突然閃いた。



 娘の数種類ある予防接種のことなどもあるから、まだ決定は

できないけど、育休3年をまるまる取ることにして

行けるだけ、夫の住む国に行こうかと。



 そんな風に思ったりしてみたものの、治安の悪さを考えると

幼子を連れて行くのはどうなんだろうと不安にかられたり

やはり夫と離れてしまったことで、いろいろと考え込んで

しまうことが増えた。


 月日は流れ……


 そしていろいろ悩んで出した私の結論

それは……


 娘が1才を迎える頃に1度向こうに行ってとにかく

生活してみる、ということ。



 案外それこそ、案ずるより産むが易しとなればそのまま

あちらでの生活を続ける。



 いろいろとあちこち支障が出てくればこちらに帰ってくる。



 夫に対しても娘に対しても自分のできうる限りの努力で

家族として一緒にいられるように、そして少しでもサポート

できるようにと、それが私の願いだった。



 そう決心すると少し気持ちが前向きになり、心が軽くなった。


 頃は春先、娘と共に寒い冬をちょっぴり寂しい気持ちを抱えて

過ごし、ようやく季節も穏やかで暖かくなりはじめた頃のこと。



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