第4話 異世界です(魔法について)

おはようございます。


 お伽噺のお姫様の様なベットで、幸せな夢を見ながらぐっすり眠ったので、とっても快調です。


 パジャマも、シルクのネグリジェ。

 ほんのり薔薇の香付きです。


 こんなに幸せで本当に良いのでしょうか?

 幸せすぎると不安になるということがあるそうですが、今の私がまさしくそうです。


 浮かれながら寝室を出てリビングに行くと、目の前にタキシード姿のウサギさんがいます。


 えっ!? なぜに!?


 確か昨日の夜には誰もいなかったはずです。


 あせ あせ


 でも、タキシード姿のウサギさん。まるで、『不思議の国の・・・』に出てくるウサギさんのようです。胸ポケットには、ちゃんと懐中時計が入っております。


 ぽー(♡)どこか私のツボを押しています。


 「おはようございます。イリーナ様。私は、物語ウサギ族のギザンと申します。女神様の命により、本日から執事としてお仕えいたします。どんな些細なことでもお申し付け下さいませ」


 声は渋くてダンディーです。素敵すぎてなんだか疼きます。

 ただのお辞儀姿も優雅です。


 えっと・・・。どうしよう。どうすればいいの?


 取り敢えず「こちらこそ、よろしくお願いします」ぺこり。


 「リビングに朝食が用意してありますので、着替えのうえお越しくださいませ」


 まわれー右。 1・2・3。


 はっ・恥ずかしいー!! パジャマ姿見られちゃったよ。それに何、あの可愛い生き物は。悶えちゃう。


 だめ、ダメ。いくら女の子になったといっても、これじゃ変態さんだよ。


 すー  はぁー    すー はぁ~


 深呼吸しておちついて。いや落ち着いて。もう大丈夫ね。


 クローゼットを開けると、女神様から頂いたカラフルでキラキラなゴスロリ服が100着。さあどれを着ようか? どれも素敵すぎて悩みます。あぁ、以前では考えられない悩みで幸せです。


 この幸せを、しっかり味わいましょう。


 うん、今日の私は燃えています。なので、色は赤でふりふり少な目。スカートの丈はちょっと勇気のいる短めで少しセクシーに決めてみましょう。髪はポニーテール。幅が広めのリボンで、赤と白のチェックに縁に簡単なフリル。


 これでどうだろう? 


 女の子に生まれたかった。女の子の服にあこがれてた。

 でも、女の子になって女の子の服を自分で選んで着るのはこれが初めて。


 鏡に顔を付けて、ひっそりと泣いた。


 自分でもなぜか涙が溢れることを止められなかった。


 あまりに遅かったからだろう。ギザンがドアをノックした。

 私はそっと涙を拭いて、ドアを開けた。


 「ごめんなさい。どの服を着ようか悩んでいたの。どう? 似合う?」


 ゆっくりまわってコーディネイトを見せた。


 「はい。燃えている赤が、今のイリーナ様の心を一層輝かせております」


 「うん。ありがとう、ギザン」


 ギザンが、椅子を引いてくれたので座ると、机の上にはすでにサンドイッチと飲み物が置いてあったので、泣いて乾いた喉を潤すために、まず琥珀色の飲み物を口に含んだ。


 それはジンジャーのように、さっぱりとしていた。


 サンドイッチのパンは少し硬めだけど、間に挟まったジャムが甘くて涙が出そうなぐらい嬉しかった。


 厳つい男が甘いもの好きという訳にもいかず(いや、誰も気にしないかもしれないけど)一度も口にすることが叶わなかった願いが、これでまた一つ現実となった。もう、甘党であることを隠す必要はないのだ。


 私にとって、夢のような時間があっという間にすぎた。

 あっという間に食べ終わってしまったのだ。


 名残惜しくて、ついついジャムのついていた手を何時までもぺろぺろ舐めてしまう。


 さて、次は昨日の続きだ。


 まず魔法についてかな。


 昨日と同じように『説明プリーズ』と頭の中で祈ると、お花とリボンをあしらった石版が目の前に現れます。


 次に『異世界の歩き方』をタッチ。


 それから『魔法について』をダブルタッチ。


 『魔法について


  ・生活魔法

  ・火の魔法

  ・水の魔法

  ・木の魔法

  ・土の魔法

  ・風の魔法

  ・空間魔法

  ・時の魔法

  ・神光魔法


  以上が、魔法の種類です。詳しく知りたいものをダブルタップでさらに詳しい内容が見れます。                         』


 そうですね。取り敢えず自分の能力にあった、生活魔法と神光魔法・空間魔法が知りたいかな。


 では、生活魔法をダブルタッチ。


 『生活魔法


  5歳の登録の時に、神から皆授かって使えるようになる魔法。


  ・水を少し出すことができる

  ・薪に火をつけることができる

  ・一回 1時間から3時間ぐらい明かり玉を浮かばせることができる


  *初めは、言葉と共にイメージをはっきりする必要があるが、何度か使ううちに無詠唱でも使えるようになる。                    』


  なるほどね。では早速目の前のコップに向かって「ウォーター」


 こぽこぽ こぽこぽ


 あっという間にコップになみなみの水が・・・。


 やったー! 成功です。


 火は家の中では危ないので、部屋は明るいですが「ライト」です。


 はい。眩しいです。明るさの調節は出来ないのでしょうか。


 あっ。出来ました。イメージですね。


 『神光魔法


  神様への祈りによって、身につけることができる魔法です。


  ・病気や怪我を一瞬で治すことができる

  ・壊れたものでも、掛けることなく揃っていれば修繕できまる

  ・穢れを浄化することができる

  ・その人の魔力の量に応じて結界が張れる

  ・見えない盾を張ることで攻撃から身を守ることができる

  ・女神様の祝福があれば女神様とお話ができる         』


 これは、今すぐは試せないものがほとんどですね。機会があったらその都度試してみましょう。


 『空間魔法


  ・倉庫として

  ・テレポートとして

  ・空を飛ぶ手段として


 知りたいことの文字の上でダブルタッチすると、詳しい内容が見れます。 』


 『倉庫として』と『テレポートとして』はまだわかりますが、『空間魔法』

空を飛べるの? なんで? これは、詳しくお願いします。


 ぽちっとな。 


 『空を飛ぶ手段として


  これは、空間魔法と風の魔法の複合魔法です。空間魔法で重力に干渉して上昇し、風の魔法で進む方向などのコントロールをします。         』


 残念です。私に、風の魔法はありません。

 何時か風の魔法を使えるようになって、空を飛んでみたいです。


 『倉庫として


  頭の中で思うだけで、出し入れ自由にできます。倉庫の中に入っている物でも時間は経つので、生ものなどには気をつけましょう。ただし、時の魔法があれば、複合魔法で倉庫の時間を止めたり、進めたりすることができるようになります。                                 』


 時の魔法かぁ~。欲しいけど、まあなくてもそんなに困らないかな?


 『テレポートとして


 一度行ったことのある場所なら、頭の中で思い浮かべるだけで行くことができます。                                』


 そっか、一度世界中を回れば、あとはどこでも行きたい時に行き放題なんだね。頑張って、異世界一周旅行をするぞ!!





**************************************


読んで頂きありがとうございます。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る