第3話 異世界です(ステータス)

濡れない水というのもおかしな話だけど、そんな感じの物に流されてたどり着いたのは、一面の草原。


思わず、何かのアニメのように、両手を広げて歌いながらクルクル回る。


ついでに、自分の体をぺたぺた触る。


うふふふふ へへへへへへ


やったよ! 私は、女の子です。


どこからどう見ても、可愛い女の子です。


歌声も、恐いダミ声ではありません。


一時、この幸せによっていました。でも、そろそろ現実を見なくてはなりません。なぜなら、ここは異世界です。どんな恐ろしい生き物がいるか解らないのです。


まず、女神様から頂いた能力と、物を確認しましょう。


 オーソドックスに、まずは頭の中でステータス。


 ・・・・・・・・・・・・・。


 声に出して言ってみましょう。

 「ステータス」


 ・・・・・・・・・・・・・。


 違うようです。何も起こりません。これは困りました。

『説明プリーズ』祈るように女神様に尋ねると、目の前にお花とリボンをあしらったプリティな石版が現れました。


 『異世界の歩き方』


 ???


 なんだか解らないですけど、取りあえずタッチ。


 『ここは、アランティアという世界です。


  ・地理について

  ・時間について

  ・貨幣について

  ・能力について

  ・常識について

  ・種族について

  ・魔法について

  ・スキルについて

  ・祝福について


 知りたいことの文字の上でダブルタッチをして下さい。』


 と、出ました。


 うーん。何から見ようか悩みますが、今の状況からして、能力・魔法・スキルあたりが優先でしょうか・・・・


 では、能力をぽちっとな。


 『能力について


  ・自分の能力を知る為には

  ・他人の能力を知る為には

  ・物の能力を知る為には

               』



 まずは、自分の能力でしょ。


 ほいほいっとな。


 『自分の能力を知る為には


  この世界の者は5歳になると、神殿で国籍の登録をします。

  登録の証として、銀の腕輪に水晶が付いたものを神殿から渡され、左腕に身  に着けます。

  ( 心配しなくても左腕に着けてあるから確認してね。 女神より )

  腕輪に、魔力を通すことで、自分の能力を見たり、他の人に見せたりできる  ようになり、身分証明とすることができます。死んだ場合は水晶の色が青に  変わり、犯罪を犯した場合は、軽いものなら黄に、重度のものなら赤に変わ  ります。                             』


 なるほどー。


 さっそく、確認しましょう。左腕ですね。


 まくり まくり


 手首より少し上にありました。


 後は、魔力ですね。小首を傾げて考えます。


 うーん。つぼです。やってみたくても出来なかったベスト10です。

 厳つい男がしても、恐いか気持ち悪いでけです。でも、今の私なら、きっと可愛いはずです。


 ジーン。感激。


 これも女神様のおかげです。


 じゃなくて、それよりもまずはまりょくでしゅ。間違えました。魔力です。


 こんな感じでしょうか? 


 うにゅーん


 大丈夫だったようです。腕輪から光が出て、石版とは別に小さな黒板のようなものが現れました。


 ふむふむ なになに



 『名前 イリーナ

  レベル Max

  魔法  生活魔法 神光魔法しんせいまほう 空間魔法

  スキル 魅了 使役 経験断続

  祝福  ゴスロリの伝道者

  HP Max

  MP Max

                              』



 私の名前はイリーナになっていました。良かったです、ちゃんと女の子の名前です。元のリュウジ・イナガキになっていたらどうしようかと本当に心配しました。ところでえっと・・・・・これってよくある・・・・・チート? っていうのかな。


 レベル・HP・MP 三つともMaxなんて、どう考えても普通じゃないでしょう。


 まあ、低いより高いほうが安心ではあるかな?


 そろそろ辺りが赤く染まってきました。このままいくと、夜ですね。

 見渡す限りの草原なので、隠れるところもありません。このままここに居ると猛獣?などの餌食になる確率が高いので、安全な所を探して移動をした方が良さそうです。


 その前に、女神様から頂いた物の確認をさっとしたほうがいいかな?


 今の状態では、何かに襲われても逃げることしかできません。何か戦うための剣?とかあるといいです。


 たぶん、空間魔法の中に含まれると思うのですが、そもそも空間魔法の使い方が解りません。


 さて、困りました。


 空間魔法・・・、空間魔法・・・。


 あっ!!


 頭の中にリストが浮かびました。どうやら、空間魔法は、頭の中で考えるだけで使えるようです。


 良かった・・・・。


 えっと。リストの一番上にあるのは、『家』・・・、『家』?


 なんでやねん!! 思わず突っ込みをいれてしまう。取りあえず本当に『家』なら、この場所でも安全が確保できるかも。


 ということで、出してみましょう。


 『家』よ出てきて頂戴。


 ででで~ん!


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 ぱちぱち こしこし


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 目をしばたかせても、こすっても、目の前に見えるのは『テント』。冒険者が使用するような一般的な『テント』かもしれない。(見たことないけど・・・)


 この『テント』を『家』だなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 なんでやねん! って全力で叫んでた。漫才でもあるまいし、こんなの絶対かわいくないでしょう。ああ、こんなところで、元男の弊害が・・・・。


 でも、あの女神様が下さった物なのだから、きっと見た目通りの『テント』ではないはず。兎に角入ってみましょう。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 あらら、入って見てびっくり。本当に『家』でした。


 玄関から入って右側が台所、正面がリビング、そして左側に寝室があってその隣にバス・トイレ付の家でした。


 リビングにある机の上には、ほかほかのシチューとパンがあり、その隣には手紙が置いてありました。


 まず手紙を手に取ってみると、想像通りに女神様からでした。


 『イリーナちゃん。野宿なんてお母さんは許しませんよ。せっかくの素敵なお洋服が、野宿ででろでろになったり、しわしわになったりなんて、お仕置きものです。でも世界中を回る時、必ず宿に泊まるのは、よく考えなくても無理ですね。なので、この『家』を追加でプレゼントします。

 いきなり『家』が建つと目立つので、見た目は『テント』に見えるようにしてあります。

 後、この『家』は、イリーナちゃんの許可がないものは入れないようになっているので安全です。しっかり寝て睡眠をとってね。

 寝不足は、お肌の敵です。

 ご飯も、ちゃんと三食、食べないと健康やお肌に影響がでます。

 今日はもう、机の上のご飯を食べて、お風呂に入って体のマッサージをして、寝ましょう。

 続きは明日です。急ぐ必要はありません。これからずっと、その世界で生きていくのだからね。

                          女神より     』



 「ありがとうございます」私は、そう祈って、ありがたくご飯を頂き、お風呂に入ってふかふかの洋風お姫様仕様のベットで夢見ることもなく深い眠りにつきました。


 いろいろあって、やはり疲れていたのでしょう。


 取り敢えず、女神様の云うとおり、続きは明日です。






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