第2話







いい朝だ。とても清々しい朝だ。こんな日は何かいいことがありそうだ。



俺はすっきりして昼には屋敷に帰ろうと朝の散歩をしていた。



俺は昨日の夢を思い出す。あぁ…その余韻に浸るのは最高だ。

自然と顔がニヤついてしまう。おっといけないいけない。これは性犯罪者の顔だ。



屋敷に帰ったらめぐみんやダクネスは怒るだろうか。アクアは俺のことなどどうでもいいと思ってるに違いない。



だいぶ歩いたと思う。このあたりはウィズの魔導具店がある。

少し寄ってみるか。



「フハハハハハ!その漆黒の害悪鳥よ!我輩が成敗してくれる!!」



店の前にはカラスレイヤーバニル…じゃなかった。見透す悪魔バニルがいた。



「む?制欲を持て余し仲間に無断で外泊するのを前提にサキュバス店を利用した挙句ボッチ娘とチンピラにはぶられていた小僧ではないか。今日は何の用だ?」



「見透すのやめてくれるかな…今日は気分がいいから朝の散歩をしてたんだよ」



「ふむ、朝の散歩と言うのは夢の内容を思い出しながらニヤニヤするものなのか」



だから見透すのやめてくれねぇかな…



「良いのか?我輩が貴様を見透すのをやめると貴様にとって不便なこともあるが」



こいつは本当にいやらしい。

この能力があるから商売もうまくいくのだろう。



「バニル、中に入ってもいいか?」



「よかろう、ポンコツ店主が愉快にパンの耳を頬張っている最中であろう」



もっといいもん食わしてやれよ…



「おーっすウィズ、入るぞー」



「あ!いらっしゃいカズマさん!」



「おっす、遊びに来たぞ」



「ありがとうございます!今日はお一人ですか?」



「あぁ、アクアはいないから安心しろ」



「いえ!アクア様が嫌いなわけではありませんよ?」



そういえば最近アクアはよくウィズの店に遊びに行ってる。何が目的かは知らんが



「あ!カズマさん!昨日入荷したこの空を飛べる帽子をおひとついかがでしょうか!」



空を飛べる、だけ聞くと便利そうだがどうせなにか欠点があるのだろう



「その通りである小僧、この魔導具を頭につけても飛ぶのは帽子だけなのだ。つまり実際に頭に装着しても使用者は一切飛べない」



使えねぇ…



「全く…このポンコツ店主は脳みそまで飛んで行ってるようである」



「うぅ…すいませんバニルさん」



いつもこうして叱られてるのであろう。少し可哀想だ、ひとつ買ってやろう



「はは、それひとつ買うよ」



「本当ですか!ありがとうございますカズマさん!」



「まいどありお得意様!ついでに夜になると高らかに笑い出す我輩の人形はいかがだろうか」



いらん。






「やっほ〜ウィズ!遊びに来たわよ!」



「あ、いらっしゃいませアクア様!」



げ、なんでこいつが来るんだよ


「あ、カズマ!何してたのよあんた!昨日めぐみんとダクネスが一生懸命探してたのよ!」



お前は探してくれなかったんだな



「そ、その私も心配したんだからね…?」



「悪かったよ。次からは勝手に外泊しない」



「絶対ね?約束よ!」



「おう、わかったわーった」



それにしてもこいつも心配してくれてたのか、なんか悪いことしちまったなぁ…



「おい駄女神、何やすやすと我輩の店に入ってきてるのだ。帰りたまえ」



「うっさいわねクソ悪魔!ここはウィズの店でしょ!!」



「まぁまぁお二人とも仲良くしてください!」



「ウィズ、店を守りたいならばこのチンピラ女神を追い出すが吉。」



「ふんっ!やれるものならやってみなさいよ!」



「バニル式殺人光線!!!」



「リフレクトーーーー!!!!!」



「あばばばば……」



ウィズが焦げたーーー!!!



「アクア!退散だ!帰るぞーー!!」



アクアの手を掴んで俺は店を出てダッシュで街を走る



「ちょっとカズマさ〜ん!まだ悪魔を退治できてないの!はなしてっ!!」



アクアが何か言ってるが気にしない



「あーもう!不幸だぁーーー!!」



俺は某ヒーロさんの名台詞を叫びながらアクセルの舞を駆け抜けた。



♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎







「結局カズマ見つかりませんでしたね、大丈夫でしょうか…」



「まぁあの男のことだ。またピンピンして帰ってくるだろう」



こう言いながらもダスティネス・フォード・ララティーナこと私はとても心配だ。あの男の外泊は珍しくないが無断でというのは前例がない。全くどこをほっつきまわっているのか…。

本当に大丈夫だろうな………



「私たちは日頃からカズマに迷惑をかけてるのかもしれません。それで怒って出て行ってしまったのでしょうか…」



めぐみんは幼きながらもしっかりしている、それに比べて私は硬いこと以外に取り柄がない



「ダクネス、今私の方を見て何か思いませんでしたか」



それに知力も高い。全く、幼きながら 高スペックなやつだ



「やっぱり何か失礼なことを考えてますね?!どうせ幼いなぁとか思ってたんでしょう!なんですか!これは!これがあるから余裕なんですか?!あぁん?」



「や、やめろ!胸を揉むな!!」



カズマの行方が分からないという事態なのになんでこうなる



「だいたいダクネスはいつもカズマを誘惑してますよね!とんだビ○チですね!!」



「はぁんっ…や、やめろ今は言葉責めなどのプレイを楽しんでる場合ではないっ!」



「まったく…カ、カズマは私はものですからねっ!」



「な…いつのまにめぐみんの所有物になったのだあいつは!」



「違いますよ!なんですか所有物って!奴隷みたいな言い方しないでください」



「奴隷…めぐみん、私を所有物に「いやです」




即答だ。しかし貴族の立場からすると奴隷とは真反対の立ち位置だな。一度奴隷の気分を味わってみたい、さぞかし気持ちいいだろう



「また変なことを考えいますねエロネス、さぁ、カズマを探しに行きますよ」



「なっ…!エロネス……」



悪くない。






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