第27話 うるさい。

夕飯を食べ終わった遥は横になってテレビを見ていた。完全に脱力し、この間行った渋谷で買ったグレーの部屋着を着て横になる姿はアザラシ同然だった。

その横を拓也が掃除機をかけていると、遥が急に立ち上がって掃除機のコンセントを抜いた。空気の抜けたような音を立てながら掃除機が止まる。

「何してんだよ」

「うるさい。私は今テレビを見ている」

「お前が来てから忙しくて最近掃除出来てなかったんだよ。ちょっとは我慢しろ」

拓也が掃除機のコンセントを再び挿そうとすると、遥がコードを踏んだ。無理に引っ張っれば断線する。拓也がコンセントを手離すと、遥がコードを巻き取り始めた。

今日の掃除はやめておけ。遥の目がそう訴えていた。しかし、この調子ではいつまで経っても掃除は出来ない。

「こっち世界のテレビってのは凄い面白い。天界は娯楽なんてそんななかったし」

こういう風に普通に生活していると、たまに遥が堕天使であることを忘れる。

「なんか他に娯楽ないの。面白いやつ」

「面白いやつって言われても……」

今まで外が好きだったわけでもなければ、友人と頻繁に外出していたわけでもない。それに出掛けるとしても、その相手は大方光流だった。

そんな拓也が「面白いやつ」として紹介できるものは―――

「ゲーム……とか?」

「それ知ってる!なんか画面をピコピコやるんでしょ!」

画面をピコピコという表現が合っているかは分からないが、拓也は自分の持っているゲーム機を自分の部屋の棚からいくつか持ってきた。



そこからゲーム大会が始まった。

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俺の同居人が堕天使なんだが。 一ノ瀬 もなか @kinyo825

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