第8話 夜ご飯

「あ、美味しい」

遥がロールキャベツを一口食べて感動していた。

「一応、うちのばあちゃん仕込みだからな。まだあるぞ」

本当は冷凍する用に取っておいたものを持ってくる。

「それで、なんでうちに来たんだよ」

「あー、それね」

遥がロールキャベツを食べながら頷く。くそ、結構可愛い。

「んー、ご奉仕的な?あなたを幸福にさせるために送られてきたの。んで、本来は一度堕天使になったら天使には戻れないんだけど、ラファエル様が償いをすれば特例を認めるとか言うから」

「いや、待て待て。何言ってるのかさっぱりわからん」

混乱している拓也を他所に、遥はここに来ることになった経緯をただひたすら言い続ける。拓也も断片的に聞いて繋ぎ合わせようとするが、全く繋ぎ合わない。

最終的に分かったことは、「遥は天使であったが、過去に拓也に対して何かの罪を犯したために堕天使となった」「天使として再び召喚されるために奉仕活動として地上に来た」。整理しても神話か何かにしか聞こえない。

「とにかくあんたのことを幸せにするためにここにしばらく住むから」

「いや、ここの大家さんうちのおばさんで、親に女子と住んでるなんてバレたら大変なんだよ」

「そこら辺はどうにかなるでしょ」

もうそこには朝に見た「天使」の姿はなかった。確かに「堕天使」と呼ぶにふさわしい。

遥はロールキャベツを食べきり、手を合わせてごちそうさまをした。拓也が深いため息をつく。

「天使だか堕天使だかなんだか知らないが。新手の詐欺か?」


拓也が怪訝そうに言うと、遥は段ボールからいくつかの荷物を出してきた。

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