彼氏の性格を治してー完結

健二を私は殺したのだ。


今の健二を見れば見るほど、

私は実感する。


これは健二では無い。

私は健二を殺した。


健二「晴ちゃん、

なんで泣いてるの?」

晴香「え?」


私は気付かない間に

涙を流していた。


晴香「え?嘘……

止まらない……」


健二「ねぇ、晴ちゃんを泣かしたのは僕?だよね」


晴香「!!」


 驚くことに健二は、

健二だけは全部知っていた。


健二「あの時、白って人が

言ったんだ。君が望まないなら

この催眠はすぐ解ける。

催眠術は永遠じゃないって……」


呆気にとられる私に、

健二が笑う。


健二「僕は僕の意志で

こうしてる。それでも、

やっぱり……今の僕は嫌かな?」


答えはもう出ていた。


晴香「ワガママ……

ばかりだね……私」

健二「そっか……

じゃあ仕方ないね」


残念そうに笑って、

健二はポケットから

薬を取り出し口に運んだ。


口内で響いたカリっという音と

ほぼ同時に、健二の雰囲気が

変わるのが分かった。


そして、健二は少し照れながら

言う。


健二「俺はそれでも、

晴香が好きだよ」


 私は健二に抱きとめられ

盛大に泣いた。泣いて、

泣き疲れて、健二の背で

眠ったまま家に帰った。


眠った私を家に帰えした

健二は掛け布団をかけて

帰っていったらしい。


布団は縦横逆で掛けられていて、それに苦笑する。


今回の件で、

前の様な大げさでは無いけど

健二は少し私を大切に

してくれる様になった。


 学校では再び豹変した

健二にみんなが驚いたが、

悪いものでも食べていたんだ

ろうという笑い話だけを

残して、私が作ってしまった

理想の彼氏の記憶は誰も気に

留めなくなっていったが、


健二はこっそり料理や

勉強にも力を入れているらしい。


ただ、ようやくゆで卵の

作り方を覚えた彼が自力で

私の理想を実現出来るのは

何年も先だと思う。


時間にしてたった一月の事

だった。私も彼も反省する

事は多い一月だったと思う。


 決して良いことではなかった

かもしれない。


でもその過ちが

私に教えてくれたことがある。


私は織田健二の性格が

好きなのだ。そして、

彼も私の事を好いていてくれる。

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催眠科の医師 不適合作家エコー @echo777

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