第5話 面会2


「証拠?」


「このスマホでいいかな? ポケットに入っていたと思うが」


手で探って、ポケットから取り出す


「見てください。こんなものはこの時代にないでしょう?」


そう言って電源を入れた


「よく見えんな。こちらに持ってこい」


「殿、安易に不審者を近づけるのは危ないと思います」


「よい、俺は加護によって簡単に死なないからな」


話しがよく分からないが、スマホを手に、俺は殿の元へ歩く


「よく分からんが何か映ってるな」


「ええ、写真なんかも取れますよ。お殿様の格好を映せるんです」


俺はカメラモードを起動させ、スマホを構える


「殿に何をする気だ? 分かったぞ。お前は織田の手先で、手に持ってる物から妖術を使う気だな?」


筧が後ろから言ってきた


「違います。お殿様の姿を映すんです。まずは天上で試してみましょう」


スマホを上に向け、シャッターボタンを押す


カシャリ


音がこの部屋に響く


「見てください。ほら、この部屋の天井が映っていますよ」


スマホの画面を殿に近づける


「確かにな。この部屋の天上である。では、この力で筧を映してみろ」


そう言われたので、後ろを向いて筧にシャッターを切る


「俺に何をした?」


筧がこっちに詰め寄ってきた


「単に写真を撮っただけです。ほらね」


そう言ってスマホの画面を見せた


「俺が映っている。やはり貴様は妖術師だな」


「おい、俺にもよく見せてくれ」


「はい」


お殿様に言われたので、スマホを手渡した


「これは事前に用意できるはずがないからな。写真と言ったか? お前が人や物を映せるのは本当のようだな。未来にはこんなものが存在してるのだな」


「信じて下さるのですか?」


「いや、今もお前の話を信じていいのかよく分からん」

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