痛快! 地の文をヨム禁断の探偵ここに現る……!

現時点での最新話「第三話 霧島十歩の落命 ⑤」までの感想となります。

所謂メタ探偵というと、真っ先に思い浮かぶのは〈神通理気〉の使い手・九十九十九でしょう(異論は大いに認めますがw)。ただ、あちらがその誇大広告的なネーミングに反し実際はごくごく普通の推理方法であるのに比べ、こちらは正真正銘本物のメタ探偵です。何せ〈地の文〉にツッコミを入れられるのですから!
登場人物にツッコミを入れる地の文というメタ小説的表現は他の作品でも時折見かけますが、その逆となると途端に少なくなります。あまりに技巧が過ぎて、ネタ色が強くなってしまうのです。

というわけで本作の出番です。
奇手にして禁じ手、地の文を読んで事件を解決するという離れ業を平然とやってのける探偵に相応しいゲスっぷり。そして脇を固める助手も、性格の異なる双子を配することで見事なバランスを保っています。

何よりミステリ読みの裏をかく展開の妙、これに尽きます!

探偵に今後の方針を強要する地の文。地の文に回想シーンを強要する探偵。
不可謬たる地の文の特権と、それを脅かす登場人物の相剋……これが面白くならないわけがない!

その他のおすすめレビュー

空っ手さんの他のおすすめレビュー109